「1位のゲレーロ(レンジャーズ)と130万票も離れてしまいましたからね…」(米特派員の1人)
松井は日本人メディアの質問に、「ファンに感謝しています。(2位は)大健闘だと思います」と、笑顔で答えていたそうだ。
しかし、今年の米球宴で松井の出場をアナハイムの地元ファンは既成事実のように捉えていた。その方法は監督推薦? ア・リーグの指揮官は元上司、ヤンキースのジラルディ監督である。エンゼルスのユニフォームを着た松井をヤンキースナインとNYファンがスタンディング・オベーションで迎えている。同監督にも「松井を何とかしてやりたい」という“親心”があるだろう。
それだけではないのだ。アナハイムのファンが『松井出場』を確信したのは、テレビコマーシャルの影響である。
現在、エンゼルスはホスト球団として、球宴準備やそのピーアールイベントに追われている。大勢のファンをアナハイムに呼びたいとし、そのピーアールCMのオンエアも始まったのだが、それに出演しているエンゼルス選手は、9年連続ゴールデングラブ賞のトーリィ・ハンター外野手と“松井秀喜”の2人だった。この共演CMはファン投票の締め切り日が近付くにつれ、オンエア回数も増えて行った。
従って、アナハイム以外のファンも「松井は今年、球宴に出場するんだな。地元だから」と捉えており。もっと言えば、「たとえファン投票で1位になれなくても、ジラルディ監督がア・リーグの指揮官を務めるので、松井を放っておくはずがない」と“日本人以上”に信じているのだ。
「エンゼルスも球団の顔として、ハンターと松井の2人に出演を要請したはず。この2人はエンゼルスのなかでも、『全国区』の知名度を誇る有名選手です」(前出・同)
こんな笑い話も聞かれた。
松井出場を既成路線と捉えた地元エンゼルスファンは、「それだったら、昨季までのエ軍主砲、ゲレーロも呼んであげようよ」と思い、彼に投票したという。もっとも、今季のゲレーロの活躍からして、そういうアナハイムのファン心理がなくても、DH部門の1位争いは確実だったが…。
「5月の打撃不振はテレビCMの影響とも言われています(笑)。テレビCMに出る以上、恥ずかしい成績を残せないと思い、空回りしてしまったとか」(同)
松井に近い関係者によれば、彼が本当に球宴出場を意識したのは08年で、その年のホスト球団はヤンキースだった。同年限りで閉場となるヤンキースタジアムが会場となるので、「松井はかなり意識していた」が、左ヒザの故障で実現できなかった。
松井が米球宴出場を果たせば、04年以来となる。ともあれ、テレビの影響力は恐ろしい…。