「蠢動」は、幕藩体制下の山陰のある藩を舞台に、幕府から使者が到着することで、藩の存続を貫こうとする城代家老、藩士の命令を貫こうとする剣術師範、正義を全うしようとする藩士、藩士への想いを貫こうとする藩士の姉などが激突する物語。見どころは、カメラを回し続ける長割りも使った殺陣場面。雪の鳥取砂丘での決闘シーンが最大の山場。
会見で、「20年位前からやりたいと思っていた」と語った三上監督は、同作を「武士道とは何なのか、武士道から起こる不条理とは何なのかをつきつめた作品」と紹介。会見翌日から現場に入り、撮影にはセットを一切使わず、室内シーンも含め、すべてロケで撮るという。殺陣シーンの撮影のためにオーディションで集めた13名の殺陣集団「チーム激動」を起用し、「最強の出演者、最強のスタッフに囲まれた」と、早くも興奮を隠せない様子。三上監督から「海外の映画祭へ出品してから、日本での公開を考えている」と明かされ、国内での公開は、今秋か、年内の予定。
脚本を読んだときに、「正義を貫くことへの、それぞれのまっすぐさを感じた」という脇崎は、「今の僕に貫ける正義とは何なのだろうと思った」ことを紹介。会見前日から関東地方に大雪が降ったが、雪の鳥取砂丘での撮影を控え、脇崎は、雪の中を一人で走ってみたことを語った。「きれいな殺陣ではなく、相手をねじ伏せるためには、足をかけるなど何でもするという精神を監督から教わった」エピソードを紹介。「きれいさよりも、最後まで残った気持ちだけでやる殺陣」を実現したいと意気込みを語った。
平は、「蠢動」に「ラストへ突き進んでいくスピード感を感じた」といい、鳥取砂丘での殺陣は、「美しい戦いになれば」とこれから臨む撮影に思いを寄せた。(中村道彦)