新3冠王者が王者の品格を取り戻す。
42分7秒の激闘から一夜明けても「曲げても伸ばしても痛い」という右腕に低周波治療器をあてながら「フリーになってからのトレーナー。移動用なんで24時間治療もできるし。昨日の夜から治療してる」と健介は1日も早いケガの回復に余念がない。鈴木みのるとの壮絶な一戦で肉体的なダメージは計り知れないが、それでも3度目の挑戦でようやくつかんだ3冠王座とあって「3冠獲ったんだよねなって自分に問いかけたり、興奮してあんまり寝てません」とやはり喜びは大きい様子。
しかし、チャンピオンに休息は許されない。理想の王者像に話が及ぶと「鈴木(みのる)がいて、VMがいて、全日本はいろんな個性があると思う」としながらも、VMを例に「だけど、会場で水をぶちまけたり、イスで攻撃したりそんな奴らがプロレスラーって胸張って言えるのかって思うんですよね」と素行の悪いレスラーたちに強烈なダメ出し。その上で「これを巻いてた先輩たちは堂々と胸張って『オレはプロレスラーだ』って言えたと思うんですよ」と自らはプロレスラーの模範となるような真のチャンピオンを目指すという。
今後の防衛プランについて「ベルトを簡単には手放すつもりはない。いけるところまでいく」と力強く長期政権の樹立をぶち上げた健介は、初防衛戦が濃厚な「全日本プロレス創立35周年記念大会」(10月18日、東京・代々木第二体育館)について「誰とやりたいってオレが言う問題でもないのかな」と王者として誰の挑戦でも受ける構えだ。
「誰が来るのか逆に楽しみだな」と挑戦を受ける立場として余裕の表情ものぞかせながら「本来のプロレスを追い求めていきたい」と健介流の理想の王者象を築き上げていく腹積もりでいるようだ。
「このベルトの価値をプロレスを知らない人に伝えていきたい」と3本のベルトとともに、真のプロレスを世に伝えていくため、“プロレス伝道師”になること宣言をした健介。今後は3冠ベルトに込められた稀代のプロレスラーの思いを具現化していくつもりだ。