5月26日、甲子園球場での阪神vs千葉ロッテ戦で、その珍事は起こった。3-1でロッテの2点リードだった8回表、1アウト走者2塁の場面。打者清田育宏が放った飛球はライトへ。このフライをキャッチしたマートンは、アウトカウントを間違えて、一塁側観客席にボールを投げ込んだのだ。野球規則により、このケースでは2つの進塁が認められるため、セカンドランナーの今江敏晃がホームイン。
致命的な4点目を失った阪神は、マートンのボーンヘッドで半ば戦意喪失。8、9回と得点することはできず、そのまま1-4で敗退。この日、最下位の横浜が勝ったため、阪神は最下位に転落。皮肉にも、味方のマートンが、それをアシストする形になった。阪神真弓明信監督は「ああいうのは論外や」と怒り心頭。
マートンのミスがなくても、負けていたかもしれないが、このプレーがナインの士気低下につながったのは事実。そもそも、アウトカウントを間違えるというのは、試合に集中していなかったから。「今晩は何を食べようか?」とでも、考えていたのだろうか。
来日1年目の昨季、144全試合に出場し、歴代日本最多の214安打を放ち、3割4分9厘の高打率をマーク。性格もマジメとあって、優良外国人の名をほしいままにしたマートン。しかし、2年目の今季は打率2割7分(26日現在)と不振。阪神の下位低迷の一因にもなっている。このままでは、“害人”と呼ばれても仕方がない。
(落合一郎)