この『魔法少女リリカルなのは』シリーズというと“信者”と呼ばれる熱狂的…、いや、狂信的ともえるファンの行動がイベントがある度にネットでネタにされる。今回も大方の予想通り、店舗特典目当てで、十数本のDVD、Blu-rayを購入した猛者が現れるなどして、某掲示板などを賑わせていた。もちろん、他のアニメにもこういった“信者”は存在する。絶対数の面でいえばエヴァなどの方が圧倒的に多いだろうし、最近放送されたアニメでは『けいおん!!』も信者数は多いだろう。だが、信者の話題になると、真っ先に話に挙がるのが“なのは信者”だ。一体“なのは信者”は他の信者とどう違うのだろうか。
この作品が元々子供アニメのジャンルであった魔法少女のものをベースにしつつ、完全にオタ向けに作られるいる。このことが特異な“なのは信者”に影響しているのではないだろうか。元はといえばこの作品はPCゲーム『とらいあんぐるハート3 』ファンディクから派生したもので、従来の子供向け魔法少女モノとは一線を隔す。『カードキャプターさくら』などで今まで子度向けの土壌を借りてひっそりとオタをやってきていた人々が、自分達のテリトリーで作品が放送されることにより、自己主張する様になった姿が、“なのは信者”なのだ。その後のシリーズ展開で、バトル重視の独自展開を取り、現在では魔法少女ではなく、“魔砲少女”だ、などといわれたりもするが、オタ方面に向けての正統派魔法少女として進化したのがこの作品だ。画期的な作品には根強いコアなファンがつきやすい。『魔法少女リリカルなのは』はそれに完全に当てはまっている。熱心な信者が多いのもなんとなく納得できる。熱心すぎてアニオタにすらキモがられる人が多いのは少し問題かもしれないが…。
このシリーズの一期『魔法少女リリカルなのは』は04年放送。06年放送の三期『魔法少女リリカルなのはStrikerS』は作品内容の大幅改変で賛否両論あったものの、劇場版第二弾の制作が決定するなど、長い期間にわたり人気を維持している。それも未だに『魔法少女リリカルなのは』の為には金を惜しまない信者があってこそのものだろう。今年8月の一番くじプレミアム『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』 のコンビニ陳列前の信者の買占め劇なども記憶に新しい。知り合いの“なのは信者”の話では、グッズや特典に金を使うことがファンの中でのステータスになっているらしい。まるでどっかのアイドルオタみたいな話だ。投票券目当てにシングルCDを何百枚も買うあの人たちのこと笑えないぞこれは。
ちなみに筆者は、いまだに高町なのはの声が北都南じゃないと違和感を感じる。もう、『とらいあんぐるハート』シリーズの“なのちゃん”を知らない人も多いんだろうな…。(斎藤雅道)