鮮やかな復活劇だった。夏の函館の名物ハンデ重賞「第44回函館記念」は、直線でインを強襲したトーセンキャプテンが快勝。昨年のアーリントンC以来、1年5カ月ぶりの勝利を飾った。
「出遅れ癖があるので、スタートだけ気をつけていました。うまく出られたし、あとは初騎乗なので余計なことを考えず、普通の競馬をしようと思っていました」とテン乗りで見事に結果を出した藤岡佑騎手。「内枠なので、ロスなく乗って、最後はあいたところを狙おうと。うまく内があいてくれました」。ゴール前は1番人気のフィールドベアーとクビの上げ下げになったが、「最後にもうひと伸びしてくれました」。ハナ差の際どい勝利をモノにして笑顔が弾けた。
実はヒヤリとすることも。馬場入場の際に暴れ、下馬するアクシデントがあった。「物見をして危なかったので、飛び降りて、すぐつかまえました。手綱を放さなかったのが良かったですね」。もし、放馬していたら…。勝負の世界の天国と地獄は紙一重ということだろう。
一方、管理する角居師は「この勝利を待っていました。力は持っていた馬ですから」と素直に喜びを表した。もともとデビューから3連勝でアーリントンCを制し、クラシック候補に挙げられた逸材。骨折で長いブランクがあったが、この勝利で再びGI戦線に名乗りを上げた。「賞金を上積みできたし、ぜひ秋の大舞台に立たせたい」
次走は札幌記念(JpnII 札幌芝2000m 8月24日)の予定。その結果次第ではサマー2000シリーズのチャンピオンも見えてくる。