警視庁の発表によると、この事故を起こしたのは男性巡査長(34)が運転する護送車で、車内には16人もの留置人が乗っており、所轄警察署を巡回した後、東京地検に向かっているところだったという。
「乗っていた留置人や、巻き添えになった一般車のドライバーらはいずれも軽傷で済みましたが、一歩間違えれば大事故になるところでした。管轄する警視庁の留置管理2課では『再発防止のため職員の指導を徹底する』とコメント。現在入院中の巡査長の回復を待って取り調べを進めるとしていますが、事故によって破損した護送車から、留置人たちが“脱走”するという最悪のケースも考えられる事態でした。もし、そうなっていれば東京は未曽有のパニックに陥っていたはずです」(全国紙社会部記者)
警察車両が起こした事故といえば、今年4月22日に起こった俳優・萩原流行さん(62)の死亡事故が記憶に新しい。これも、原因となったのは警視庁高井戸署の男性警部補(55)が運転する護送車だった。
この事故は、片側3車線の一番左のレーンを走っていた護送車が、前方にあった路上駐車の車を避けるために車線を変更。後方確認が不十分だったため、中央の車線を走っていた萩原さんの大型バイクに接触し、転倒して投げ出された萩原さんが後続車に轢かれて搬送先の病院で死亡したのだ。
事故を起こした警部補は近く書類送検される予定だが、当初はなかなか警察が非を認めなかったため、萩原さんの妻・まゆ美さんは「すべて明らかにして夫の名誉を回復したい」と裁判も辞さない構えを見せている。
最近、警察車両による事故が多発しているのは、なぜなのか。交通ジャーナリストの今井亮一氏に聞いた。
「今回の首都高の件と、萩原さんの死亡事故のような“護送車の事故”は、私の記憶する限り初めての事例です。パトカーでパトロール中なのであれば、いろいろと別に注意を払うところがあるため、安全運転がおろそかになりがちということはあり得ます。ですが、護送車の運転者は、ただ運転に専念できるはずです。首都高の報道を見る限り、事故原因は“前方不注視”にあると思われますので、『前を見て運転しろ』という一言に尽きます」