馬場の内と外、位置取りの差が明暗を分けた。
いつも通り末脚にかけ、4角で外に回した2着ブエナビスタに対し、好位で内々の経済コースを走ったヤマニンキングリー。直線が短く小回り平坦の札幌では前々で競馬ができる馬が有利だった。3着には同じく内を突いたサクラオリオンが入線。
逃げたドリームサンデーが引っ張る流れは前半1000メートル60秒2の平均ペース。「スッとゲートもうまく出てインのいいところを走れた」(柴山騎手)というヤマニンは4番手を追走した。3角過ぎから、後方にいたマツリダゴッホ、ブエナビスタらが早めにマクり始める中、ジッと内で我慢。4角でゴーサインが出ると力強い末脚を繰り出し、直線半ばで先頭に躍り出た。ブエナも外めを突いて猛追したが、「本当に頑張ってくれた。キングリーの力を信じて乗った」(同騎手)と、クビ差しのぎ切ってゴール。道中、経済コースを走り、早めに抜け出した作戦が奏功した。
この日はマイナス20キロと大幅に馬体を減らしていたが、「別に悪い感じはしなかった」(同騎手)という。単勝1.5倍(支持率54.84%)と圧倒的な人気を集めたブエナを抑えての勝利だけに、価値ある1勝。同騎手は「この馬の強い姿を見せることができて良かった」と笑顔を弾けさせた。
河内調教師も「前々での指示だった。内で折り合って上手に乗ってくれた。直線ではブエナがきたけど、直線が短い分、もってくれたね」とジョッキーの好騎乗を高く評価した。
中山金杯、小倉大賞典、中京記念とGIIIで3戦連続2着が続いていたが、近走のうっ憤を晴らし、昨年の中日新聞杯以来となる2つ目のタイトルを手にした。今後は函館競馬場を経由し、栗東トレセンに帰厩。ステップレースを一戦挟んで、天皇賞・秋(GI、芝2000メートル、東京)を目指す。
牝馬2冠のブエナビスタを破ったことで一躍、注目の存在となった。秋は伏兵としてではなく、主役としてGIタイトル獲得を狙う。