そんななか、思わぬタイガーマスク運動特需で荒稼ぎしているのが、漫画「タイガーマスク」(原作=梶原一騎、作画=辻なおき)出版元の講談社だ。
同社によると、この運動が盛んになったこの数日間で、「タイガーマスク」の注文が殺到。その数は1月14日時点で、各巻1万3000部を超えたというから驚きだ。漫画文庫「タイガーマスク」は全7巻(定価=税込788円)、続編の漫画文庫「タイガーマスク二世」は全2巻(定価=税込735円)。
1万4000部として、単純計算でこの全9巻の売上は約9780万円。少なく見積もって粗利3割としても、実に約3000万円が講談社の懐に入ることになる。これが、何の宣伝もしないで得られた注文なのだから、同社の笑いは止まらないだろう。今後も注文は伸びていくことが確実で、いったいいかほどの利益が講談社にもたらされるのか、想像もつかない。
世の不景気、活字離れ、インターネットの普及で出版界は極めて厳しい現状。各出版社は電子出版へのスライドに、生き残りを賭けている。その苦境のなかで、旧作がバカ売れしたわけだから、ウハウハだ。もちろん、もともと素晴らしい作品であったことが、注文殺到に拍車をかけたことはいうまでもないだろう。
「タイガーマスク」「タイガーマスク二世」は01年に復刻され、昨年10月に各巻2000部ほどの増刷がなされたばかり。在庫では足りなくなると判断した講談社は、「タイガーマスク」全7巻の増刷を14日に決めた。果たして、この特需はどこまでは続くのだろうか?
(ジャーナリスト/落合一郎)