幕張メッセの1〜8ホールを使用する超大型イベントとなり、いまやアマチュアディーラーのガレージキット公開の場としてだけではなく、1000社を超える企業が参加し、新作フィギュアの公開や販売をするようになった本イベント。今回は、企業ブースで今までと違う変化として、プラモデルメーカーのフィギュア業界への積極的な接近があった。
プラモデルメーカーの青島文化教材社(アオシマ)は、1/12スケール洋式便所と男子トイレを公開。これは便器だけではなくトイレの小部屋ごとのプラモデルとなっている。アオシマは去年の10月に似たようなコンセプトで1/12スケールでブランコを発売しており、今までありそうでなかった商品の登場にネットで話題となった。今回もフィギュアファンの間では、ネットで騒がれており、同社の広報は、「こういった商品は、またアオシマがなんか変なことをした。といわれるのが大事です」と語っていた。
ミニ四駆などで有名なタミヤも今回はブースのレイアウトを大きく変更しており、ミニ四駆だけではなく、戦車模型も前面に押し出したブースレイアウトに。これには、去年に放送されヒットしたアニメ、『ガールズ&パンツァー』が強く影響している。同作は美少女が部活動で戦車を操縦する設定となっており、キャラクターのフィギュア発売に合わせて一緒に購入して作るユーザーや、キット単体でアニメ仕様に改造しようと考えるファンが多く、最近プラモデル業界では戦車キットに大規模なプロモーションを行なっている。
ガレージキットの販売を行うアマチュアディーラーにも変化が起きてるようだ。ワンフェス歴10年以上のベテランアマチュアディーラである40代の三重県在住の男性は、「最近はライト層が増えている気がします。展示品のガレージキットは完成品で組み立てて、色を塗っているので、お客んさんに商品を渡す段階で、色もないパーツもバラバラなキットをみて、“こういうものなんですか?”とビックリされることがよくあります」と語る。ユニークな丼ぶりのキットで来場者から注目されていた30代の宮城県在住の男性も、「まだ2回目の参加ですけど、こういう小物だと何も加工していないガレージキットより、手間はかかりますけど色を塗った完成品の方が喜ばれますね」と答えた。
ワンダーフェスティバルは最近ではアニメ、ゲーム業界にも影響が強く、フィギュアメーカーをスポンサーとして、同会場で声優やクエリエター陣を招いて大規模なトークイベントを開くことも珍しくなくなった。来場者もアニメからフィギュアに興味持つという人も増えており、以前のようにガレージキット愛好家だけが集まるイベントから大きく変化している。しかし、ガレージキットの文化が廃れてきているというわけではなさそうで、新作アニメのガレージキットを中心として展示していた群馬県在住の30代男性は、「好きなキャラクターだから、ガレージキットやったことないけど作ってみますって買ってくれる人が凄く増えています。そういう人には下手な説明で作り方教えたりもしています(笑)」と語っていた。(斉藤雅道)