初コンビを組んだ桜花賞は好発から中団につけ、2着に追い込んだ。ただ、「もう少し伸びると思ったけど…」。振り返る的場文騎手のこのひと言に集約されるように、距離はマイルでもギリギリの印象があった。しかし、手綱を通して名手は感じ取っていた。あと1Fなら辛抱できる。ただし、それには条件があった。「もっと力をつけてくれば、またいいレースができる」
桜花賞から約2カ月、果たしてジョッキーが求める成長の度合はいかがなものか。10日に大井競馬場で行った最終追い切りは、同じくプリンセス賞に出走する僚馬ニジノムコウとの併せ馬。結果はまさかの3馬身遅れだった。
しかし、管理する高橋三師は「桜花賞から見れば馬は良くなっている」とキッパリ。「序盤からガンガン行って、ずっと外を回ったのを考えれば悪い内容ではなかった。もともと実戦に行っていいタイプだしね」
ニック同様、ローズは普段から的場文騎手がマンツーマンで調教をつけている。ただでさえ不気味さが漂うなか、動きとは裏腹にドッシリ構える師の発言が、さらにそれを増幅させる。
重賞は6度目の挑戦。ホッカイドウ競馬時代は掲示板すら載れなかった馬が、階段を一段一段上がるようにして、つかんだヒロイン奪取のチャンス。13日終了現在、12勝差で南関リーディングの戸崎圭騎手を猛追する名手の手綱さばきに注目だ。