指揮官は、もはやあきれるしかなかった。
ここまで日本ハムと並び首位に立っていた楽天。ところが、この日はまるで別のチームだった。
先発を任されたラズナーは2回、2本の本塁打で3点を失うと、4回にも3安打2死四球で5失点、散々な内容でマウンドを降板。4回で勝負の大勢は決した。打線も8安打を放ちながら6残塁と結果に結びつかず、今季両リーグワーストとなる15失点という屈辱的な完封負けを喫した。
お粗末な内容に指揮官は、得意のボヤキを連発した。その原因を作ったのは明らかにラズナーだった。
「球場の特徴に適応した投球ができなかった」というラズナーだが、ここまで毎試合本塁打を打たれており、言い訳にしか聞こえない。
いっこうに改善されない“一発病”に「コントロールが甘くなると、どうしても長打を打たれる。すべてが悪い。ああいう変化球と球威じゃ抑えられない。ラズナーとローズは相性が悪い。打ち損じを期待するしかないな」(野村監督)とサジを投げた。
2度目の大炎上とあって本来なら2軍で調整をさせたいところだが、そうもいかない。テコ入れをしようにもケガ人が多く、人材難の状況なのだ。「投手の数が少ない。岩隈(久志)とマー君(田中将大)だけで、144試合を戦うのはしんどい」と頭を抱えるしかない。
加えて、野手、コーチ陣も監督の頭を悩ます。初回に先頭打者の渡辺直人が2塁打で出塁するもけん制死。8回には高須洋介の2塁打で本塁突入を試みるもタッチアウトになるなどミスが目立った。「(3塁ベース)コーチがああいう初歩的なミスをやってもらっちゃ困る。3年やって何も変わらない。子供レベルのミスをするのは許せない。少年野球ですよ」とおかんむりだ。
もはや出る言葉は後ろ向きな発言ばかり。報道陣からここまでの手応えを問われ、「優勝かね? とんでもないよ。神がかり的なことが起こらない限り」という迷言を残し球場を後にした。このままAクラスに残留するためにもはがれ落ちた“メッキ”を野村再生工場で、どう塗り直すかがポイントになってきそうだ。