東京五輪後に予定されている建て替えを待って「新神宮球場」に戻り、巨人との“神宮ダービー”も可能だろうが、相手は2520億円掛けたザハ氏デザインの世界的な新球場。とてもじゃないが勝負にならない。
ラグビーワールドカップで御披露目され、五輪後は巨人のフランチャイズ−−森元首相と渡辺恒雄・巨人球団最高顧問の“強力タッグ”で、ヤクルトはもはや風前の灯だ。
「ヤクルトからすれば、『巨人にまんまとしてやられた』が本音。ここにきての猛チャージは、その怒りの表れなのです」(前出・スポーツ紙デスク)
ヤクルトが巨人移転を阻止し、新国立競技場をスワローズの本拠地にするためには、今シーズンからリーグ連覇し、世論を味方に付けるしかない。
逆に、これに失敗すれば、フランスの大手食品会社ダノンが筆頭株主のヤクルトは、くすぶり続ける噂の通り球団売却を迫られる可能性すらある。
しかし、「どんでん返しもあり得ますよ」と言う政府高官もいる。
「ヤクルトの前身は、森氏が政界入り前に勤めていた産経新聞社で、フジサンケイグループがついているのに加え、安倍晋三首相は大のヤクルトファン。しかも、巨人の神宮移転の旗を振る森元首相とは同じ派閥の清和政策研究会ですからね」
森氏は、ラグビーワールドカップで新国立を使えれば目的を達成するかと思いきや、もう一つの“野望”があるという。それは、新国立を使う球団に、同郷(石川県)の後輩でもある松井秀喜氏を監督に迎えることだという。
「それも、ジャイアンツではなくスワローズの監督に松井氏が座ればいいわけです。この勝負、あらゆる利権が絡む問題なので、蓋を開けてみるまで分からないですよ」(同)
五輪開催時の新国立競技場は、仮設席も含めて8万人分の座席を設置するが、五輪後は5万人台収容のスタジアムに姿を変える。実は裏社会でも、この巨人の本拠地移転は大きな関心事になっているというのだ。
「ズバリ、巨額なダフ屋の利権ですよ。現在の東京ドームの周辺は関東系の有力団体のシマなんですが、新国立競技場が建つ神宮周辺は、別のヤクザ組織のシマだからです。勝手に巨人が本拠地を変えると、関東系の組織が黙っていないはず。最悪、ヤクザ組織同士の一大抗争に発展するのではないかと、今から話題になっているんです」(都内の金融業者)
この件について、都内の組織関係者に話を聞くと…。
「今は暴排の影響で、ダフ屋も影が薄くなっているが、その代わりにあらゆる利権が存在することは確かだ。それが、Aという組織からBという組織にそっくりそのまま奪われるとしたら、水面下でバチバチの交渉が始まる。それこそ散発的に抗争が起こる可能性もあるし、死人が出てもおかしくはない」
当のプロ野球界でも、裏社会の話を彷彿とさせる出来事が起こっている。
7月2日に発表されたオールスター戦の監督推薦で、セ・リーグの指揮を執る原辰徳監督が、目下、リーグ本塁打&打点で2冠王のヤクルト・畠山和洋内野手を落選させたのだ。
これも神宮のシマを争う両球団の“仁義なき戦い”の伏線なのか−−。