勝負事に必要なのは運と実力…道悪を味方にしたピンクカメオ(NHKマイルC)しかり、スローの流れを味方にしたコイウタ(ヴィクトリアマイル)しかり。春のGIシリーズは幸運を呼び込んだ陣営が勝利してきた。
このオークスを前に勝負風を手にしたラッキーホースこそ、フローラS勝ちのベッラレイアだ。
ただし、ここまでの道のりは平坦ではなかった。新馬快勝後のクイーンC、アーリントンCを立て続けに除外。桜花賞はレベルが高かったけど、ひょっとしたらの気持ちはあった。それだけに悔しかった」と平田師が振り返るように、すみれS後のフラワーCでも再度、除外に泣き、桜の舞台は夢と消えた。しかし結果的にこれが同馬の成長を促すことになる。
「桜花賞を使えなかったことでローテーションにゆとりできた。その分、落ち着きが出てイレ込まなくなった。大人の女性へと変わったんだ」
それを証明したのが前走のトライアル・フローラS。スローの中、後方からしっかり折り合う完ぺきなレース運び。しかも、直線では前が壁になりながらも、心身のバランスを得た鉄の女は乱れなかった。最後は執念で出走権をもぎ取るようにクビ差での勝利、これまでのうっ憤を見事なVで晴らした。
さて、注目の追い切りは坂路で終い重点。全体時計は800m54秒4と平凡だが、ラスト1Fで仕掛けられると、重心をグッと下げて一気に加速し、12秒7と上々の切れ味を発揮した。減っていた馬体もふっくらと見せており、気配は文句なしだ。
「いろいろ回り道したけど、やっとこの舞台に立てることがうれしいね。ようやく、僕にも馬にも運が巡ってきた感じ。ダイワスカーレットは確かに強い。でも、今の充実ぶりでどこまでやれるのか。不安というより期待の方が大きいね」
3度の除外をバネにして、たどり着いた樫の舞台…実力と運で得たこのチャンスを逃すわけがない。その強い意思でベッラレイアが大舞台に立つ。