彼女の名前は里奈ちゃん。大学生で、なんと薬学部に在学していた才色兼備な嬢。おじ様層に気に入られる、井上和香風な、女性らしいふくよかさを持っていました。お化粧もお上手で、どこが昭和的な美を感じさせる嬢でした。
ところが彼女は、洗練された見た目とは裏腹に、元々酔っ払うと「淫ら」になる習性がありました。それがまさか、営業時間外に問題を生むだなんて、その時は予想だにしていなかったのです。
クラブのお姉さんとは違い、キャバ嬢は送りの車で帰宅する人も多いのですが、私は里奈ちゃんと同じ車で帰宅していました。
ある日の営業終了後、里奈ちゃんは言いました。
「まちこさん、私先に車に行って寝てます〜。酔っ払ちゃって、横になりたいんです。いいですか?」
本当であれば、まだ帰りの身支度を終えていない女の子が数人いましたから、皆が揃うまで待っていなければならなかったのですが、里奈ちゃんが辛そうだったので私は快諾。
その後、かれこれ20分も経っていたでしょうか。私たちは車に向かいました。
いつもなら、ドライバーの飯田さんは車の外で煙草を吸って待っているのですが、その日は姿が見えませんでした。
「コンビニにでも行ったのかな?」
そんなことを話しながら車に近付いてみると、そこには衝撃の光景が。
なんと里奈ちゃんが、飯田さんの「ブツ」を舐めまわしているではありませんか。それも、上裸で。
「ぎゃぁぁぁ!!」
思わず叫んでしまったのは、私の隣にいた嬢、恵麻さん。その奇声に驚いた彼らはそそくさと行為を中断。
「ごめんなさい、ノリでやっちゃった」
里奈ちゃんは私に謝ってきました。ところが、時、既に遅し。
翌日、マネージャーと三者面談に臨んだ彼ら。里奈ちゃんは記憶がない、としらばっくれていましたが、結局、2人ともクビになってしまいました。
飯田さんが面談後、私に声をかけてきました。
「まちこには世話になったな。お前と飲みに行きたいといつも思ってたんだが、俺も男だ。どうも女の誘惑には勝てないな。相手がお前じゃなくて心残りだよ! ははは!」
思わず唖然としてしまいました。信頼していたドライバーさんも、結局普通の男と変わらず、下心があるものなのです。
夜のお仕事って、独特な雰囲気があります。この場をお借りして、次回も「リアル」に、ノンフィクションでお送りしたいと思いますので、お楽しみに。
<文:秋田まちこ>twitter:akitamachiko69