「ダービーでやっと持ち直し、(風船が)膨らみかけたところ。調子が戻ればあれぐらいは走れると思ってました」と評価する蛯名騎手。万全の状態で臨めなかったのは悔やまれるが、ダービーで実力を再確認できたのは収穫だった。そして、春の無念は秋で晴らすという決意が言葉の端々ににじみ出ていた。
ダービー後は十分に休養を取り、本格的な乗り込みを再開したのは8月下旬から。急ピッチに調整は進められており、1週前追い切り(9日)では、美浦ポリトラックで6F77秒3→62秒0→48秒6→36秒3→12秒0(G一杯)の自己ベストをマーク。併せたパリオ(古馬500万)に4馬身先着するド迫力のパフォーマンスを披露した。
騎乗した蛯名も確かな手応えを感じ取った様子だ。「内を回ったので予定より時計は速くなったが、動きはさすがという感じ。ひと夏越してすごく良くなっている」と太鼓判を押した。
課題は右回り。左回りの東京で新馬→東スポ杯2歳Sを連勝しているが、中山コースは京成杯2着が最高。蛯名は「勝ってないけど、京成杯は(落馬の影響を受ける)アクシデントがあったし、皐月賞はぶっつけ挑戦。前に行った馬が粘る展開も向かなかった」と悲観はしていない。実際、右回りで行われた1週前の動きからも中山コースが死角になることはなさそうだ。
「下から上がってきた夏の上がり馬もいるけど、この馬の力を信じて乗るだけ」とジョッキーは堂々と受けて立つ構え。そして、「動きたいときに動けるような競馬ができれば、先につながると思う」と視線の先にはしっかりと菊花賞を見据えていた。