今大会に限らず、過去に行われた『M1グランプリ』は、12回のうち実に9回吉本芸人が優勝している。なぜ、これほど“吉本だらけ”になるのか。 「『M1』で吉本興業が強い理由としては、芸人の層の厚さがあげられますね。吉本の芸人養成所であるNSCは、東京校と大阪校があります。毎年それぞれの校舎に600〜700人が入学します。そのうち、コンスタントにテレビに出られるような芸人になれるのは5組以下という厳しい世界です」(放送作家)
それぞれの年度に5組のコンビがいたとして、『M1』の出場規定であるコンビ結成15年以内のルールとあわせると、東京大阪あわせて150組が存在する。さらに、コンビ歴は解散するとリセットされるため、実際にはそれ以上となる。吉本は芸人の分母が圧倒的に多いのだ。ほかにも理由はある。それが舞台での活躍だ。
「よしもとクリエイティブ・エージェンシーは東京や大阪などに自前の劇場を持っています。テレビに出られなくとも場数を踏んでいるので、舞台慣れしているといえるでしょう。さらに、『M1』はあくまでも漫才の能力を競う場所。過去には音ネタのテツandトモが出演したこともありますが、高い評価は得られませんでした。現在の若手芸人に必要なひな壇トークにおけるアドリブ力といったものと、『M1』で勝ち残る能力は異なるのです」(前出・同)
普段からマイクスタンドの前でオーソドックスな漫才を披露する吉本芸人が決勝に多く残るのは、必然なのかもしれない。