プロ入り3年目の今季、初めて二ケタ突破の12勝をあげたヤクルト・佐藤由規、65試合に出場して打率2割3分3厘、9本塁打、22打点を記録してようやく来季のレギュラー獲得が見えてきた日本ハム・中田翔、プロ入り最高の6勝を記録したロッテ・唐川侑己らが『平成元年会』を発足させる。ついに平成生まれの会が出来る。
そして、間髪入れずに1歳年上の昭和最後の昭和63年生まれの『88年会』が旗揚げされようとしている。甲子園を沸かせた早実・斎藤佑樹に代表される『ハンカチ王子世代』の呼称から、一足先にプロ入りして大活躍した楽天・田中将大にちなんだ『マー君世代』。さらには、今季セ・リーグ投手3冠を獲得、投手にとって最大の勲章である沢村賞まで受賞した広島・前田健太が追い抜き、『マエケン世代』とも呼ばれる黄金世代だ。巨人・原辰徳監督が来季3番構想を明かした巨人・坂本勇人もその一員だ。
そんな黄金世代の中で大学を卒業、今年のドラフト会議をにぎわした面々が続々とプロ入り。早実から早大を経て斎藤佑樹が日本ハムに、同じ早大ドラフト1位トリオの大石達也は西武、福井優也も広島入り。ドラフト会議を主催する日本野球機構(NPB)が作った3枚のポスターで「俺世代、こい。」と、広島・前田、楽天・田中、巨人・坂本が呼びかけたように、プロでは4年先輩トリオに挑戦する。
『俺世代』の『88年会』は、一気に日本プロ野球界の一大勢力にのしあがる可能性は大だ。「ボクは(仲間と集うことは)嫌いじゃないんで、やりたいですね。発起人? マエケンがいいのでは。マエケン会長、田中はヒラで」。楽天・田中がこう言えば、広島・前田は「田中会長がいい。ボクは副会長でいい」と、会長の座を譲り合っているのも微笑ましい。
実力がすべてのプロ野球界だから、来季の成績で会長、副会長を決めれば、明快ですっきりするだろう。
来オフには、スター選手の大量メジャー行きが予想される。難航中のアスレチックスとの交渉が決裂すれば、楽天・岩隈久志が仕切り直し、海外FAでメジャー入りする。日の丸エースの日本ハム・ダルビッシュも1年先送りしたポスティング・システム(入札制度)を使ってのメジャー行きは確実視されている。
さらには、ソフトバンクの川崎宗則、和田毅の海外FAも濃厚になっている。それだけに、新世代の『88年会』と1年後輩の『平成元年会』が切磋琢磨しての大活躍が期待されることになる。「野球界の最高峰のメジャーに挑戦したいという気持ちは止められない。悲観的になるのではなく、若い選手にとっては最高のチャンスだし、我々も後継者を育てればいいんだからね」。こういう持論を持っているのは、世界の王ことソフトバンク・王貞治球団会長だが、相次ぐ新世代の『88年会』『平成元年会』発足の動きを見ると、確かにファンも期待がふくらんでくるだろう。