天皇賞は従来の記録を一気に0秒8も縮めるレコードでウオッカが勝ったが、「途中で3着だなと思ったら、あそこまで盛り返してきた。ウオッカもディープも最後は止まっていたね」とはわずか2センチの差で2着に終わったダイワスカーレットの安藤勝騎手。
それは数字上でも証明されている。レースの上がり3Fは35秒2だったが、11秒3→11秒3→12秒6とラスト1Fが異常に時計がかかっており、激しい消耗戦だったことがわかる。
もともと「レコード勝ちのあとは消し」が競馬の世界の常識。反動が必ず出るからだが、今回も関係者は口にこそ出さないが疲れは少なからずあったとみていい。ちなみに天皇賞でハナ、クビ、ハナの4着だったカンパニーは続くマイルCSで4着に敗れている。
かといって、他の日本馬でピンとくる馬がいないのも事実。ならば、外国馬に目を向けるべきだろう。◎はパープルムーンだ。
重賞勝ちがなく、外国馬の中でも格下と見られているが、むしろそこが狙い目。ビッグレースの後で出がらしになった著名馬より、消耗度が少なくフレッシュな状態の無名の外国馬が穴をあけるのが、このJCの特徴なのだから。
パープルムーンは今年、秋から復帰し、まだ3戦目。(5)(2)着と一戦ごとに調子を上げて来日してきた。
もうひとつの条件になるのが日本の馬場に対する適性だが、これもバッチリ。スピードを要求され、日本のコースに近いとされる豪州のGI・メルボルンCでクビ差2着に好走しているのだ。
管理するクマー二調教師は2005年にアルカセットで優勝。JCを勝つノウハウを知り尽くしているのも心強い限り。
「アルカセットとの比較は難しいが、時計が速くて硬い馬場が好きなところは似ている。今年は2戦しかしていないし、ニューマーケットできっちり仕上げて日本にきた。当日は100%の状態で出したいね」
有馬記念にも選出されており、胸を張って出走するためには凡走が許されない。ロスのない競馬ができる6番も「理想的な枠」(同師)で、激走条件は整っている。