国際陸上連盟が猫の出場資格を疑問視し、カンボジア陸連などに説明を求めていることが、4月12日に分かった。
国際陸連は国籍変更に関し、過去に国際競技会で代表経験がない選手について、今年から新たな規定を設けた。国籍取得後1年が経過していない場合は、連続した1年の居住実績、または国際陸連理事会による特例承認のいずれかが必要になったのだ。
このルール改定には、中東諸国がオイルマネーの力でアフリカの有力選手を国籍変更させ、若手選手を青田買いするのを阻止する意図がある。猫には全く関係ない話なのだが、規定が厳格化したことで、それが及んでしまった格好だ。
猫がカンボジア国籍を取得したのは昨年10月。日本でタレント活動もしており、連続した1年の居住実績はないと判断される可能性も高い。そうなった場合、猫が五輪に出るには、カンボジア陸連が特例として申請し、国際陸連から承認を受けるしかない。
しかし、承認を得るには相応の説得力がある根拠がなければならず、カンボジア陸連がその根拠を提示できるかどうかは疑問。国際陸連関係者は「重大かつ意義深い理由がなければならない。門前払いになる可能性もある」としている。
猫は2月5日の別府大分毎日マラソンを2時間30分26秒(50位)で走り、自己記録を大きく更新。ライバルである同国の08年北京五輪代表のヘム・ブンティンの昨季最高タイム2時間31分58秒を上回り、カンボジア代表に選ばれた。今月中旬には正式に代表として発表される予定だったが、土壇場で五輪出場取り消しの危機に直面した。
猫の所属事務所は「カンボジア陸連がどう対応なさるか、待つしかないです」とコメントした。
(落合一郎)