日本代表として戦った誇りがある。そして世界を制した揺るぎない自信がある。だからこそ、“至上最強”メンバーのそろったグランプリで燃えないわけがない。中距離界のエースとしての力を満天下に証明する。その絶好の機会がアドマイヤムーンに訪れようとしている。
「今年に入ってドバイ、香港と2度海外に遠征して輸送や環境の変化など厳しい状況に耐えてきた。それを経験して馬自身に貫録が出てきた。自信がみなぎっている」 松田博師は体全体からあふれる雰囲気に王者としての風格を感じ取る。
超一流アスリートしか漂わすことのないオーラ。今回からコンビを組むことになった岩田騎手もまた1週前追い切りで同様の感触を味わった。
「乗っていてゾクゾクする感じがある。前の馬を交わす時にはサッーと流れるような、周りの景色がまったく違って見えた。すごすぎました」
すごすぎる王者が挑むのは国内初のGI制覇だ。これまで弥生賞、札幌記念をはじめ、重賞は5度も制しながらGIでは皐月賞(4着)、ダービー(7着)、天皇賞・秋(3着)とまだ一度もその頂点を極めていない。国内最強の称号を得るためには是が非でもGIの勲章、“至上最強”のグランプリでの勝利が必要だ。
「帰国してからも順調に乗り込んできた。1週前追い切りではまだ少し体に余裕があったけど、レースまでには絞れてくると思う。いい感じで調整できている」
ドバイ、そして香港の激戦を戦ってきた疲れもすっかり癒えた。磐石の態勢で迎える戦い。それは世界王者としてのプライドをかけた戦いでもある。
「もちろん、ウチは海外のGIを勝っている馬だから。能力の比較ならもちろん、勝ち負けになると思っている」ダービー馬がナンボのもんじゃい!海外GI馬が唸りを上げた。