国内FA権を取得したオリックスの金子千尋投手(30)は今オフの主役であり、巨人、ソフトバンクと同様に、阪神も獲得調査を進めている。阪神は前出2チーム出遅れた感は否めないが、ここへきて、監督人事による一発逆転の秘策を得た。
「岡田彰布オリックス元監督ですよ。岡田氏がオリックスの監督時代、金子をエースとして扱い、先発だった平野佳寿をクローザーに転向させた。その布陣はいまも変わっていません」(在阪記者)
岡田氏が阪神監督へ返り咲くことが有力視されており、金子の周辺情報も一緒に虎サイドに流れているのならば、決して不自然な話ではない。ドラフト当時の金子を担当した熊野輝光スカウトが阪神に在籍しており、FA交渉には同スカウトが同席するとの情報も交錯している。
しかし、阪神が得た新情報とは熊野ルートでは得られなかった“秘策中の秘策”である。
「岡田氏はオリックスを指揮した2年間で、補強にも口を挟みました。その件が影響しているという情報です」(球界関係者)
岡田氏がゴリ押しした補強の1つに、井川慶(35)の獲得があった。ヤンキースで通用せず、完全に干されていた井川を獲得に乗り出したのは、阪神時代の教え子だからだ。井川はオリックスでも戦力になれず、優勝争いをしたチームから完全に蚊帳の外状態だ。その井川を岡田阪神が回収する準備を進めれば、オリックスが金子獲得に“加勢してくれる”というのだ。
「昨年の契約更改で、オリックス側は金子のFA退団を確認しており、複数年契約を交わすのを諦めました。今季も非公式に残留交渉を何度か行いましたが、『厳しい状況だ』と聞いています」(プロ野球解説者)
オリックスは残留交渉と同時に、金子流出時の人的補償を視野に入れている。大方の見方通り、放出相手が巨人であれば、巨人を出て広島で活躍した一岡竜司のような即戦力を狙うであろう。しかし、阪神が搦め手を使って金子を獲得した場合、阪神には若くて活きのいい投手が少ない。したがって、オリックスは金子のFA補填とは別に、阪神へ井川をトレードに出すことで、足りない分を補うというのだ。
「井川の年俸は大幅減されたとはいえ6000万円。このまま行くと井川は今オフにも戦力外通告になりそう。オリックスとしては、戦力外同様の選手で交換トレードがまとまるなら悪い話ではない」(同解説者)
岡田氏は教え子がまだカワイイのだろう。オリックスでも活躍できなかったが、「環境を変えてやれば復活する」と、いまも井川を評価しているという。近年は故障などもあったが、練習態度はマジメな投手である。監督として岡田氏は好き嫌いが激しいが、ひたむきな選手には必ずチャンスを与えてきた。
岡田監督阪神返り咲きとなれば、オリックスの二軍で眠っている選手をかき集める可能性もある。鳥谷を一人前に育て、鉄壁のリリーフ陣JFKを編成した手腕は、いまでも阪神で高く評価されている。頑固で“一言多い性格”は玉にキズだが、水面下では、岡田監督復帰に向けた下準備が進んでいるようだ。