「夫は私と付き合う前に元カノと同棲していました。その際にペットを数匹飼っていたのですが、1匹は元カノが飼い、残りのペットは私の新居で夫と飼うことになったんです。元カノは夫に未練があったのか、単なる嫌がらせなのか、元カノ側のペットの病院の診察代、病院に行くまでにかかったタクシー代を請求してきました。その時点でも正直不愉快だったのですが…」
元カノはさらに身勝手極まりない行動に出たのだという。
「元カノから夫へ『預かっていたペットが飼えなくなったから、引き取りに来て』という連絡が入ったんです。そもそも、元カノがその1匹を『どうしても飼いたい』と主張していたと夫から聞いていたので、それだけでもドン引きでした。しかも、飼えなくなった理由は、『ペット不可のアパートで隠れて飼っていたら、大家にバレて退去させられそうになったから』という無責任なもので、呆れ返りましたね。その1匹もこちらで飼うことになりましたが、私になついてくれたのが不幸中の幸いでした」
元カノの迷惑な行動はこれだけでは終わらなかった。
「突然元カノが、夫に『婚約不履行で訴える』という内容の書面を送りつけてきたんです。夫は元カノと婚約した事実は全くなかったのですが、本当に訴えられると面倒なので、弁護士に相談をしました。その後、元カノの要求内容が『ペットの近況報告を死ぬまでよこせ』に変わるなど、結局何をしたいのかが意味不明で、弁護士も困っていました。弁護士に相談している間も、元カノから夫の携帯に留守電で『私のペットはどうしているの?』という言葉が入っていたり、ひどいときは玄関の扉の前に『ペットに会えるまで何度でも家に来ます』という手紙が置いてあったりしました。実際に近所の人から女性の不審者を目撃したと聞き、恐怖でしかなかったです」
結局のところ、元カノはペットにこだわっているようだったという。
「ペットの件が争点だろうとのことで、元カノにはペットに関する権利がないという文面を弁護士に作成してもらい送ったところ、元カノからは連絡がなくなりました。一件落着とはなりましたが、ペットをまるで自分の都合のいい道具かのように使ってきた元カノのやり口は、今思い出しても腹が立ちます」
当たり前のことだが、ペットは人間の道具ではない。ペットは飼い主を選べないだけに、身勝手な元カノに振り回されたペットのほうもたまったものではなかっただろう。
文/浅利 水奈