「西岡の代理人は、リック・サーマン氏で間違いありませんでした」(米特派員の1人)
スポーツマネジメント会社『ビバリーヒルズ・スポーツ・カウンシル社』のサーマン氏の名前は早くから報じられていた。氏は井口資仁(35)のメジャー時代の代理人でもある。「井口の紹介」であることは関係者も否定していない。前出の米特派員によれば、「サーマン氏に、千葉ロッテ側が希望する入札金額がいくらなのか、探りを入れている」とのことで、移籍交渉も円滑に進められるものと思われる。
「西岡の推定年俸は1億7000万円。海外FA権取得は2013年でした。来季からFA取得まで、あと3年を要する計算になりますから、現年俸額の3倍分に相当する約5億万円の落札金があれば、ロッテ側は断らないでしょう」(前出・同)
球団はポスティング・システムで2回、拒否することができる。1回目は選手が申し出たとき、2回目はメジャー球団側の落札金額に納得いかなかった場合で、サーマン氏は独自よそうとしながらも、千葉ロッテ側が拒否しない金額をメジャー側に伝えているという。
米現地報道によれば、「1500万ドル強(約12億円)で入札する球団も」と伝えていた。楽天・岩隈以上で落札される可能性もあるわけだ。
その落札金が適当かどうかはともかく、西岡に強い関心を示している球団も、サーマン氏とのネットワークを持っている。
「SFジャイアンツ、ドジャースが内野手を欲しているので、入札に参加する可能性が高いと見られています。SFジャイアンツはかなり熱心です」(前出・同)
SFジャイアンツは正遊撃手のホワン・ウリベがFA移籍する可能性が高く、早い時期から西岡に関する情報を集めてきた。サーマン氏がSFジャイアンツの大黒柱で、2年連続サイ・ヤング賞のティム・リンスカム投手を抱えているのは有名だが、西岡のエージェントを引き受けた理由は別のところにあった。
「08年オフ、当時、正二塁手を探していたSFジャイアンツは井口獲得に動いたんですよ。井口の守備力の高さは米球界も認めていましたが、SFジャイアンツ側が一方的に交渉を打ち切ってしまいました。代理人として、サーマン氏はそのときの屈辱を忘れていません」(米メディア陣の1人)
日本人内野手は厳しい見方もされている。確かに松井稼頭央、井口、岩村明憲は好成績を残せなかったが、前出の米メディアの言葉を借りれば、「送球したボールにスピード感がない」「接触プレーに発展した場合、当たり負けする」と体格面でのハンディがあるとし、「とくにカズオ(松井稼)がそうだったが、天然芝に対応できないケースが見られた」ともいう。今回の西岡にしても、批判的な見方をするメジャー球団もないわけではない。それでも、「岩隈以上の落札金」が期待される理由だが、今オフの米FA市場は「大物内野手が比較的少ない年」だからなのだ。サーマン氏と西岡の接触は「昨年オフ」とも言われている。その通りだとすれば、西岡&サーマン氏は、「大物内野手がFA市場に少ない2010年オフ」こそ、米挑戦するチャンスと見越していたのではないだろうか。また、氏はリンスカムが在籍するSFジャイアンツが落札した場合、強気な交渉にも出られるだろう。井口の交渉で失敗した08年のリベンジ…。西岡の交渉に期するものもあるはずだ。
米スポーツTV局『ESPN』の解説者に転じた元上司のボビー・バレンタイン氏は、同局HP上で西岡を絶賛していたが、ヘンな補足も付けていた。
「彼は目立つことも好き。どのチームで契約するかも大事ではないか(成績はモチベーションで左右されるのではないだろうか)」(8日付/現地時間)
西岡が米球界の「日本人内野手」に関する評価を変えれば、来年オフに渡米するとされる川宗則(29=福岡ソフトバンクホークス)の契約も好転してくるだろう。
「西武球団に『入札はダメ!』と言われた中島(裕之=28)は、地団駄を踏んでいるかもしれませんね(笑)。西岡は今季のポスティングに関して、井口に相談しています。井口は瀬戸山社長のお気に入りですし、そうやってフロントを味方につけていきました。落札金がいくらなら球団が納得するのか、いろいろと調べていたようですね」(球界関係者)
プレースタイルは実直だが、強かな一面も兼ね備えていたようである。西岡は日本人内野手の低評価を変えられるか…。