惜しかった。あと一歩だった。前走のマイルCS、スーパーホーネットはダイワメジャーにクビ差で敗れた。
「ダイワのアンカツ(安藤勝騎手)さんにうまく乗られたね。競ったら強いのを分かっていて、内から馬体を併せられ、向こうの持ち味であるしぶとさを発揮されてしまった。ウチのも頑張ったけど、相手の強さを痛感させられた」と北口助手は悔しそうに振り返った。
力を出し切った末、GIの厳しさを思い知らされた。だが、そんな激戦の中で、ホーネットも大きな収穫を得ていた。
11着に惨敗した春の安田記念は後方から何もできないまま終わったが、マイルCSは中団から直線、早めに抜け出す積極策。がっぷり四つの取り口でGI5勝馬ダイワメジャーという大横綱に迫ったのだから、横綱が引退する来年以降、チャンスはグンと広がった。
今夏を境にしての大変貌。その裏には肉体面の大幅な強化がある。安田記念は馬体重が454kg。輸送で10kgも減らしてしまい、レースで我を失っていた。
しかし、今回は4kgプラスの474kg。パドックを歩く姿は堂々として、居並ぶGI馬にもヒケを取らなかった。強いトレーニングを課してもへこたれない強さを身につけた結果だった。
この中間もその充実度は変わらない。「前走後はここを目標にやってきた。厳しいレースの後だったけど、馬体減りはまったく見られず、前回同様のいい状態を保っている」と北口助手はうなずいた。
GIにはあと一歩届かなかったが、GIIはすでに前走のスワンSで快勝している。今回はあの時と同じ1400mに短縮される。「今度はメンバーも少し楽になるしね。実績のあるこの距離ならチャンスは十分。今年最後の一戦。有終の美を飾りたい」
来年こそ、GIを獲る。熱い思いを、最高のパフォーマンスに変えるつもりだ。