馬がデビューして数戦した後、成績が安定していればいいのですが、(1)大敗したり、レースぶりが頭打ちになったとき(2)距離延長や短縮されたとき(3)そのレースで同脚質の馬が多いときなどは、厩舎サイドでは馬の能力をもうひとつ前進させるために、脚質転換を考えます。
ただし、頭に入れておいてほしいことは、逃げ、先行馬は差し、追い込み馬に変えられるが、追い込み馬は逃げ馬に変えることはできないということです。そのいい例が阪神JFで見られました。
成功した例はエイムアットビップ。1400mだった前走・ファンタジーSでは道中から大逃げを打ち、2着に終わりましたが、阪神JFでは1F延びることも考え、一転、中団から差す競馬を試みて0秒1差の3着。前走で負けたオディールに先着しました。逃げから脚質を変え、今後に明かりが見えた一戦だったと思います。
一方、失敗例といえるのがエイシンパンサーです。阪神JFの前2戦の重賞では差し、追い込みで差のない(4)(3)着。この次こそはという走りを見せていましたが、本番では内枠に逃げ馬がいるのに、大外枠から逃げる戦法に出て、15着に惨敗してしまいました。
もっとも、能力はある馬です。次走で差し、追い込み策に戻したら、再び好勝負することでしょう。
若い馬の場合、厩舎は能力をより引き出すために、いろいろな位置取りを経験させることを考えます。逃げて勝った馬が次も逃げるとは限りません。馬券を買う方も戦歴の少ない馬には注意が必要です。