都内に住むHさん(43)は、ある日、家で留守番をしていたところ、アマゾンからの商品が代引きで届いたという。Hさん宅では、日頃から奥さんや娘さんが日常品や化粧品をアマゾンから購入していることから、何の疑いもなく受け取ったというが、帰宅した家族に聞いてみると、誰も身に覚えのない注文で、結局は“送りつけ詐欺”だったことが分かった。商品は雑貨やスマートスピーカーなど数点で、今でもなぜそんなものを送りつけられたのか全く分からないという。
「かつては高級海産物などを送りつける“カニカニ詐欺”が広まったことがありました。食品類などは知らずに食べてしまうと返品もできないので、泣き寝入りするケースも多いですね。アマゾンは送付先の住所や名前が分かっていれば、誰でも代引き注文することができます。注文した覚えのない商品は必ず受け取り拒否してください」(消費アドバイザー)
また、間違って受け取ってしまっても返品することが可能だ。ただ、返金手続きには一定の時間がかかり、アマゾンポイントならばすぐに対応されるが、現金の場合は1カ月程度かかってしまう場合もあるという。
「手続き自体もメールを介してのやり取りで、ネットに不慣れな人にとってはとても面倒なものです。また、アマゾンに誰が注文したか問い合わせても、個人情報をたてに『警察に相談して下さい』の一点張り。結局、手間ばかり掛かって何も解決しません。また、販売する側にもこの手のイタズラ注文が増えています。店としては注文者と送付先が同一であれば、普通の注文と見分けが付きません。後から返品されても商品の送料は店持ちになりますから、それだけでも赤字になってしまうんです。アマゾンが抜本的な対策をしない限り、イタチごっこが続くでしょうね」(同・アドバイザー)
犯人は何らかの手段で個人情報を入手したとみられるが、中には2カ月の間に50回以上も注文した覚えのない商品が送られてきた人もいるというから、かなり悪質だ。
最近はアマゾンエコーなどのスマートスピーカーに話し掛けると、その場でその日アマゾンから配達される予定の商品を教えてくれる。注文したことを本人が忘れている場合もあるので、家族が集まる朝食時に確認するといいだろう。