「しかも、米国は水面下で中国にも今以上の資産凍結を働きかけているという。中国は'13年の核実験の際に、中国銀行にある朝鮮貿易銀行の口座を凍結したが、その後もさまざまな抜け道があると評判だったからです。しかし、米国に加え中国がこれに踏み切れば、北朝鮮は雪隠詰めにあい、『暴落したロシアのルーブル以上の経済崩壊を招く』と言われている。そのため、怒り心頭の金正恩第一書記が今度こそ南進し、核ミサイルを撃つ可能性が指摘されているのです」(前出・外信部記者)
実際、米国の追加制裁が発表された折には、北朝鮮の『朝鮮中央通信社』が、「制裁を撤回しないならば、弾丸や砲弾が米国の領土に飛ぶことになる」と警告。また、その一方では元旦に金正恩第一書記が「韓国が環境を整えるならば、今年中に南北首脳会談を実現したい」と発表。この不気味な威嚇と甘言が、さらに国際社会を震撼させているのである。
もっとも、気になるのは、悪魔の核ミサイル攻撃を模索し始めた北朝鮮の今後の出方だろう。韓国のジャーナリストがこう分析する。
「軍事行動のきっかけとなるのはやはり中国の出方と見られており、同国がさらなる経済制裁に踏み切れば、北朝鮮軍が南進する可能性がある。また、2月には例年通り米韓が合同軍事演習を行う予定だが、これを中止しない場合も軍事行動に出る可能性が高い。その際には'10年に死者4人、重軽傷者19人を出した延坪島事件と同じく、韓国の島に数百発のロケット砲やミサイルが撃ち込まれることが想定されているのです」
また、前出の防衛省関係者が言う。
「核のミサイル搭載は可能と見られているが、さすがに北の弾道ミサイルは米国のワシントンやニューヨークまでは届かない。そのため、有事の際には38度線を越えた軍事行動と同時に、在韓米軍基地や沖縄米軍基地への核ミサイル攻撃が懸念されているのです。また、2月には金正日生誕記念日(2月16日)もあり、北朝鮮暴発の危険日として警戒されている。今では日本政府も未曽有の事態に備え、米韓と防衛戦術を練っているのです」
前出の外務省関係者によれば、「北朝鮮は現在、餓死者が急増。貨幣価値も下落して物価がうなぎ上り」だという。この難局を乗り切るために、金正恩第一書記が核のボタンを押す可能性も少なくないのである。