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サンマを追っかけ600キロ『第65慶栄丸』小型漁船の惨劇

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提供:週刊実話

 市場には、か細いサンマばかりが並んで、今年のサンマ不漁の深刻さを物語っている。9月17日、8人乗りの小型漁船『第65慶栄丸』が北海道根室市納沙布岬から東方約640キロで転覆事故を起こした。乗組員1人が心肺停止状態で発見されたが、残り7人の安否は不明(9月20日時点)だ。

 「小型のサンマ漁船は、例年は近場のロシア沖で漁をするんですが、今年は9月中旬になってもサンマが上がってこないため、600キロ以上離れた漁場まで遠出するしかないのです」(道内漁業関係者)

 サンマ棒受け網漁は8月上旬から解禁された。今年は漁場が遠く、大型船の多くは北海道東部から約1200キロ離れた公海まで出て操業。遠くまで出られない『第65慶栄丸』のような小型船は8月26日まで漁獲がほぼゼロ状態だった。

 漁業情報サービスセンターによると、全国で水揚げされたサンマは約2000トン(9月10日時点)。前年比の約17%でしかない。

 「しかも、魚体が100から120グラムが中心で小ぶり。脂のノリも悪く、売り物になりませんよ」(市場関係者)

 市場価格は1キロあたり700円から800円。去年と比べると、倍以上に跳ね上がっているというから庶民にはとても手が出せない。

 不漁の原因について、水産庁関係者はこう解説する。

 「海水温が上昇して、低温を好むサンマが日本沿岸から離れており、サンマの大群が北海道沖やロシア海域に現れていない。その上、中国や台湾籍の大型漁船が公海で乱獲するため、資源が枯渇したのが原因ではないか」

 サンマ不漁の影響は他にも出ている。

 「岩手県宮古市は、約20年前から『目黒さんま祭り』に毎年7000匹のサンマを直送していが、今年は冷凍サンマを提供するしかなかった。以前の不漁時は北海道で水揚げされたサンマを手配したんですが…。9月21、22日に行われた水揚げ量日本一の『根室さんま祭り』も満足に確保できない有様だった。サンマ不漁は深刻ですよ」(漁業情報サ
ービスセンター)

 なお、漁船「第65慶栄丸」事故の捜索は21日に打ち切られ、乗組員7人は依然として行方不明だ。何とか無事であってほしいと心より祈るばかりだ。

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