田中(楽天)はWBCで主戦ではなかったが、松坂(レッドソックス)ダルビッシュ(日本ハム)ら超一流の投手の技術、調整法に間近で触れた。本人が「経験が大きかった」と言うように、直球の質も向上させて開幕7連勝するなどワンランク上の投手に飛躍した。プロ3年目で初の主要タイトル獲得も期待される。
ダルビッシュは序盤、公式球やマウンドの感覚を元に戻すのに苦心していたが、今は「全体的に良くなってきた」と本来の姿に戻りつつある。
一方、一昨年秋に右ひじ手術を受けた岩隈(楽天)は大舞台に備えたため、ケアが不十分だった。それが、ここに来ての右ひじ痛で戦線離脱という事態を招いた、ともみられている。WBC好投の余波を最も受けた投手が岩隈で「何もないですよ。でもやっぱりあの緊迫感、重圧は凄かった」ともらしているのが正直な気持ちだろう。WBCでは救援でフル回転した杉内(ソフトバンク)は開幕当初、無意識に肩を早くつくろうとする癖が残り、上半身主導のフォームに陥っていた。
野手では青木(ヤクルト)に負の反動が出た。開幕前に発熱。さらには、WBCで球が速く、小さく動く投手に対応しようとしたことで、日本投手への対応を狂わせた、ともされる。頭部死球が追い打ちをかけて不振は長引き、打率は一度も3割に届いていない。