さてこの『閃光のナイトレイド』。第二次大戦前の1930年代の上海を舞台とした超能力スパイアクションで、今週は本来第7話である「事変」が放送されるはずだったのだが、テレビ東京系列の地上波放送では、特別編として「預言」が放送された。「事変」は公式サイトでのストリーミング配信のみとなった。特別編と言えば聞こえはいいが、要するに総集編である。放送話数が全12話程度しかない1クールアニメでは異例の事態といえるだろう。
このように、突然総集編を挟む例が他に無いわけではない。最近では、同じく1クールアニメで4月まで放送されていた『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』が、7話と8話の間に「ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド 特別編〜Special Edition〜」として、新規カットを追加して再編集映像を放送した。これは制作会社との連絡が不十分で納期に間に合わなかった為とウワサされている。
伏線を張りすぎているアニメや、2クール以上の長期アニメだと、意図的に総集編を入れる場合もあるが、殆どの深夜アニメの場合、総集編放送には何らかの問題があってのケースの方が多い。
『閃光のナイトレイド』も、本来はアニメノチカラ第三弾として放送予定だったものを、第二弾予定だった『世紀末オカルト学園』が予定より制作が遅れた為の前倒し放送だったことが影響しているのではなかろうか。いくら準備していたとはいえ、3か月も制作を早めるのは容易なことではないだろう。
もう一つの理由として考えられるのが、7話で放送予定の「事変」が以前の話までの舞台である西暦1931年の上海から離れ、満州事変を石原莞爾や板垣征四郎などの実在の人物を交え、日本人の視点で描いてることで、諸外国に配慮した結果ではないかということ。公式サイトでのストリーミング配信はするとはいえ、スポンサーは自分達は放送を自粛したという証拠だけは欲しいところだろうし。
理由がどうあるにせよ、最近では貴重なオリジナルアニメなので、作品に期待する視聴者が混乱する事態だけは避けてほしい。それに、第一弾の『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』から宣伝が大規模で、果たして採算は取れているだろうか…。
どうせ総集編をやるなら、総監督のストーリー構成ゴタゴタで、4話にして総集編を挟むまさかの展開で伝説となった、2007年に放送の『キスダム -ENGAGE planet-』のように、強烈なインパクトが欲しいものだ。まあ、『キスダム』の場合その後のストーリーの裏返りっぷりも有名なのだが…。(斎藤雅道)