その存在感を強烈にアピールしたのが、秋初戦のTR・セントライト記念だ。道中は7番手で折り合いに専念し、3角過ぎから徐々に進出。あっさりと抜け出す横綱相撲で完勝した。
レース後の蛯名騎手のコメントは自信に満ちあふれていた。「(春と比べて)体に張りが出てきたし、馬は数段良くなっていた。好スタートを切って、スムーズに流れに乗れて、道中はズブいぐらい。これなら、三千メートルもまったく問題ないでしょう」と笑みを浮かべたものだ。
一方、担当の堀内調教厩務員も、「あれでもまだ余裕がありましたね。着差以上に強いと感じました」と振り返った。蛯名騎手同様、本番に向けて確かな手応えをつかんだ様子だ。
セントライト記念の後は、10日間の短期放牧で疲れを癒した。「フレッシュな状態で帰ってきました。一段と良くなっていますよ」。プレッシャーのかかる仕上げにも、堀内調厩員には余裕すらうかがえる。
「春はレースを使った後、トモに疲れが出たけど、今回はそんな兆候がまったくない。回復が早かったし、それだけシンが強くなったのでしょう。カイバもモリモリ食べてますよ」
文字通り、天高く馬肥ゆる秋をおう歌。充実一途だ。15日に美浦のポリトラックで行われた1週前追い切りも、それを象徴するような素晴らしい動きだった。
全身をダイナミックに使ったフォームで、5F63秒0→49秒7→37秒1→12秒5。好タイムを楽々と叩き出した。
「状態に関して、心配は何ひとつない」。堀内さんは、そう言って太鼓判を押した。
初めての関西遠征も、「オンとオフの切り替えが上手な馬。問題ありません」と言い切り、こう締めくくった。
「菊花賞は、これまでの集大成のつもりで臨みます。力を出し切ればチャンスは十分あると信じてます。応援してください」
ダービー馬ロジユニヴァースの姿がない菊の大舞台。その分も、いやそれ以上に、東のエースは強さを見せつけるつもりだ。