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過払い金請求にトラブル続出 本当に払い過ぎた利息は戻ってくるのか(1)

 「払い過ぎた利息を取り戻します!」「債務整理なら○▲法律事務所まで」
 こんな文言のCMを最近やたらと耳にする。いや、テレビやラジオだけにとどまらず、電車やバス内でも目にする機会が増えている。
 もはや脳裏に刷り込まれるんじゃないかというほど繰り返されるこれらのCM。なぜ司法業者は、これほど連呼してまで“利息を返させたがっている”のだろうか−−?

 借金をしたことがある人ならわかると思うが、貸金業者から金を借りた場合は原則として利息を付けて返済しなければならない。しかし、場合によってはこの利息を払い過ぎているケースがあり、これを返してもらいましょうというのが、いわゆる『過払い金返還請求』だ。
 「グレーゾーン金利という言葉を聞いたことはありませんか。『利息制限法』では業者が利用者に金を貸すとき、年利15〜20%までの上限金利を定めています。しかし、2010年まではこれに違反しても『出資法』の上限金利29.2%を超えない限り罰則はありませんでした。これにより多くの業者は、この間のいわゆる“グレーゾーン”部分の利息を取っていたというわけです。しかし、法律の改正後は、超過分は無効となるため債務者は利息を支払う義務がなくなります。さらに過去に払い過ぎた分は請求すれば戻ってくる。ここに司法業界が飛びついたのです。債務者向けにバンバンとCMを流し『あなたもお金が戻ってくるかもしれません』と呼び掛けたのです。業界ではバブル到来と呼ばれ、猫も杓子もこの過払い金請求に明け暮れたのです」(経済誌記者)

 司法書士のS氏(45歳)も、この“バブル”の恩恵を受けた一人だ。
 「こんなにおいしい案件はありませんでしたね。書類だけそろえて申請すれば、複雑な借金履歴がない限り認められるんですから。司法書士が扱える金額の上限は140万円までなのですが、20%の手数料を取っても、後から後から申請の申し込みが湧いてくる。これ一本に受注案件を絞った事務所は何件もありますよ。知り合いの弁護士はこれで数億稼いだとドヤ顔でしたね」

 しかし、今になってこの過払い金返還請求バブルのツケが問題となってきているという。
 「過払い金返還請求のピークは既に過ぎました。もともと返還対象者は限られており、大方の人はすでに対処済みか時効になっています。不当利得返還訴訟件数は2009年の約14万件をピークに減少し、今や顧客の減少で食えなくなっている司法業者が続出しています。そして、それに伴いトラブルも急増しているのです」(前出・記者)

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