「昨年末は広島からFA宣言した丸佳浩外野手の獲得交渉に臨んだものの、巨人にさらわれてしまいました。外野手の補強を予定していたので、このままキャンプインするということはないと思います」(プロ野球解説者)
そもそも、千葉ロッテは打線強化の意味合いも兼ね、「強打の外野手」を探していた。甲子園を沸かせた大阪桐蔭高の藤原恭大外野手を指名することには成功したが、それで補強終了とは見ていなかったようだ。
「時系列で振り返ってみると、千葉ロッテがまだ補強を続けたいと思っているのは一目瞭然です。ドラフト会議が昨年10月25日、丸と交渉したのはその後の11月22日でした。藤原は将来のクリーンアップ候補ですが、1年目から結果を求めるのは厳しいと判断したんじゃないですか」(前出・同)
丸との交渉失敗後、千葉ロッテは16年の本塁打王で、昨季も26アーチを放った前日ハムのブランドン・レアード(31)を獲得した。日本での実績も十分であり、打線強化は確実だが、問題は守備位置。レアードは内野手であり、日本ハムでは主に三塁を守ってきた。千葉ロッテの三塁にはチームリーダーの鈴木大地がいる。17年ドラフト1位の安田尚憲も控えている。レアードを含めたこの3人の起用法は決まっていない。生かすも殺すも、井口資仁監督の手腕にかかっている。
「昨季獲得した助っ人のドミンゲスも、本職は三塁手でした。4番として期待し獲得したのに、日本の野球に慣れる前に井口監督が我慢しきれず、結局、鈴木に任せる格好となってしまいました。鈴木を外せば、チームの士気に影響するし、レアードを使わないのは愚策。レアードを一塁か指名打者に回す策もあるが、新加入のバルガス、昨季チーム最多アーチを放った井上とポジションが重複してしまう」(ベテラン記者)
どのポジションも競争。チームに緊張感を与えるのは間違っていないが、またもやポジションがかぶるレアードの獲得に批判的な声は多く聞かれた。
「その一方で、外野手が手薄なんです。誰かをコンバートするのかなあ?」(前出・同)
こうしたチーム事情もあって、「千葉ロッテが新たな外野手を補強する」との情報があるのだ。
「いや、昨年末にエースの涌井の放出トレードを画策しているとの情報もありました。涌井は現状維持の2億円で契約を更改しましたが、ロッテでは『割高の選手』ということになります」(球界関係者)
涌井は7勝9敗と成績はイマイチだったが、打線の援護に恵まれなかった“不運”もある。契約更改時には背番号を「18」に変更すると同時発表された。エースナンバーである。トレード説が本当なら、放出要員に18番は渡さないはずだ。もっとも、涌井は17〜18年オフに米球界挑戦を前提に海外FA権を行使したが、失敗。“出戻り感”やいづらさもあるのかもしれない。また、涌井が交換要員なら、レギュラークラスの外野手放出に応じる球団も出てくるはずだ。
「昨季、ロッテは初の経営黒字を報告しました。チーム全体が活気づいていたのに、丸の交渉失敗で一変してしまいました。国内トレードで『打てる外野手』を補強するとしたら、ネームバリューのある選手を獲らないと…」(前出・同)
トレードによる補強でチームの活気を取り戻すとしたら、それ相応の選手を放出しなければならない。“18番”の実績を惜しむのなら、藤原に賭けてみるしかない。(スポーツライター・飯山満)