今、レッドソックス・松坂大輔は四面楚歌だ。地元ボストンのマスコミから大バッシングされ、レッドソックスの首脳陣からも球団批判の疑いで追及されるなど散々な目に遭っている。
レッドソックス首脳陣が「肩を急作りしたWBCの反動による体調不良」と決めつけている長期戦線離脱、再調整中の松坂を襲った新たな騒動。事の発端はこうだ。松坂とレッドソックス首脳陣が今後の調整方法に関し話し合ったが、その内容が一部日本のメディアのネット上に報じられ、地元メディアが球団批判と英訳したことから、大騒動に発展した。
投げ込み制限のあるレッドソックスの方針通りの調整を続けていけば、西武時代の投球ができないと不安を漏らしたところ、これが球団批判として英訳された。ボストンのラジオ局の電子版がいち早く伝え、地元紙電子版、大リーグ公式サイト、米スポーツ専門局でも掲載されるなどして波紋は広がったのだ。
「(監督室で)内密に話し合ったものを、彼が公にしてしまったことがとても残念でならない」とフランコナ監督は機密暴露を重要視。ファレル投手コーチも「話し合いに持ち込まれずに、このような形(マスコミ報道)で出されたことは、ガッカリした」と失望を隠さなかったという。松坂は首脳陣に対し、電話で事情説明し、軽率な発言に関して謝罪。今後も誤解を解いていくというが、松坂を一方的に悪者扱いはおかしいだろう。
メジャー球団の投げ込み制限などの押しつけ調整法は、松坂にとって百害あって一利無しなのは厳然たる事実だ。メジャー流調整のツケが3年目になって積もり積もって、体調不良につながったといえる。WBCのせいにする首脳陣の言い分は一方的すぎる。
WBCで連続MVPを獲得した際にも「松坂は太りすぎだ。下半身を使ったピッチングが全くできていない。あれでは故障する」という声が評論家の間からあがったし、西武入団時の恩師・東尾修氏は「あんなひどい投げ方の松坂は見たことがない」と絶句したほどだ。
元日本人メジャーリーガーの1人は「投げ込みをして肩のスタミナを作る日本流の調整に戻さないと、松坂は絶対に復活しない。首脳陣と話し合って、自分流の調整を認めてもらうしかない」と緊急警告していた。
そういった数々の声を背景に、松坂は首脳陣と今後の調整に関して話し合ったわけだが、今回の騒動のツケで松坂の自己流調整が認められず、改めてメジャー流厳守を申し渡されることになったら、最悪の結果になる。
「昨年18勝したことで、松坂がメジャーで通用することはもう証明されている。『メジャーが一番。すべてこちらの言うとおりに黙って従えばいい』という思い上がったメジャーリーグに対し、松坂の方から縁切り状を突きつけて、日本球界へ帰ってくればいいんだ」と超過激なゲキを飛ばす球界OBまでいる。
それにしても天国と地獄と言うしかない。西武時代の3年前は第1回WBCのMVPを獲得して、ポスティングで総額100億円プレーヤーとして華々しくレッドソックス入りしたのに、今回の落差はどうだ。同じWBCのMVPを獲得しても、首脳陣から「WBCのために肩を急作りして故障した」と言われ、さらには機密漏洩騒動。踏んだり蹴ったりの松坂だ。