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キャバ嬢が生まれる瞬間(22)〜就活のためにキャバ嬢になった女〜

 佐々木由紀(20歳・仮名)

 私は人と比べて秀でたものがないと思っている。ルックスもトークも特技も特に優れたものは持ち合わせていない。そんな私がこれから就職活動を始めたとして雇ってくれる企業があるのか、といった不安を漠然と日々抱えていた。

 ある日、就職を決めた女の先輩と飲みに行ったとき、就活に関する不安を相談したのだけど、その時に先輩が勧めてくれたのがキャバクラで働くということだった。

 先輩は、キャバクラで培ったコミュニケーション力は絶対無駄にならないって言ってたんだよね。キャバクラは1対1だけの会話じゃなく、グループを接客する場合もある。だから社会に出てブレインストーミングを行う際も、集団でアイデアを出し合うことによって生まれるお互いの連鎖反応だったり、発想を引き出す技術が身につくってうれしそうに話してた。

 それとキャバクラで鍛えられるのはコミュ力だけじゃなく、思考力も育つと。例えば一般的な接客業だと決まった時給が与えられるだけなので、店の売り上げなどは特に考えず、決まった仕事をただ作業的に続ける場合が多い。でもキャバクラは違う。よっぽどの美人で、人を惹き付ける魅力のある子じゃなければ、ニコニコしているだけでは結果を出せない。つまり自然と、どのようにすれば自分への指名が付くのかという論理的思考が身につくようになるのだそう。例えば話題を豊富にするために、日々のニュースや新聞をチェックするようになったり、メイクの技術も磨く。その習慣は将来的に、店を辞めた後でも役立つようになるんだって。

 先輩の話を聞いて、例え失敗したとしても学生の間に、色々体験したいと思った。まだキャバクラは始めたばかりだけど、必死で試行錯誤して、結果が数字としてフィードバックされるよう、勉強していくつもり。それにキャバだけでなく、学生の間はどんなことにでもチャレンジしていきたいな、と思ってます。

(取材/構成・篠田エレナ)

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