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北朝鮮ミサイル発射Xデーは4日早朝が濃厚

 北朝鮮が「4月4〜8日の午前11時から午後4時の間」と通告した長距離弾道ミサイルとみられる「人工衛星」打ち上げのカウントダウンが始まった。“Xデー”を控え、日本列島は万が一の事態に備えて厳戒態勢に突入。国際社会はギリギリの段階まで「自制」を促す構えだが、北朝鮮が発射を断念する可能性は限りなくゼロに近い。

 米シンクタンク科学国際安全保障研究所は先日、北朝鮮・舞水端里(ムスダンリ)のミサイル基地に設置されたミサイルの衛星写真を公開した。写真を分析した米シンクタンク「グローバル・セキュリティー」は、「3段式ように見える」としており、2006年に発射された2段式の「テポドン2号」の改良型と考えられる。一方で複数の米国防総省高官が「人工衛星の可能性が高い」と述べたともいわれ、結局は発射されてみないと判断がつかないのが実情だ。
 さて、気になる“Xデー”はいつなのか?
 日朝関係筋は「複数の北朝鮮関係者が『4日に打ち上げる』と述べていることから、4日と判断される」として次のように指摘する。
 「打ち上げは多分にショー的要素が強い。このショーを完成させる表の主役がテポドン2号なら、裏のメーンキャストは天候だ」
 気象庁は1日、北朝鮮が通告している4〜8日のミサイル基地周辺の天候が大きく崩れる日はないとの見通しを発表。これまでは、4日は曇りで午後から雨または雪。5日は雨で6日以降になってようやく晴れるとの予報だったため、Xデーは6日以降になるのではないかとの観測があった。予報が変わったことで4日早朝の可能性が高まってきた。

 人工衛星であれミサイルであれ、北朝鮮はなぜこの時期に発射するのか。
 北朝鮮国内の事情に目を向けると、9日には新・金正日体制がスタートする「最高人民会議(国会に相当)」第1回会議が開かれる。15日は故金日成主席の誕生日。国家的行事が目白押しの中、“祝砲”を意味するとの見方は根強い。北朝鮮が「激ヤセ」した金正日総書記の写真を公開したこともさまざまな憶測を呼んでいる。
 対する日本はミサイル防衛(MD)を発動する「破壊措置命令」を受け、すでに自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を各地に配備。自衛隊は発射による被害を絶対阻止する構えだ。しかし一部では、肝心の政府の足並みの乱れを危ぐする声もある。
 政府は当初、「関係省庁一体の対応が不可欠」とする防衛省の求めに応じ、閣議決定を経て「破壊措置命令」を出す方向で調整していた。しかし外務省や内閣官房から閣議決定では「北朝鮮を刺激しかねない」との異論が出て、最終的に各閣僚が参加する安全保障会議を開いた上で防衛相が命令を下す案に落ち着いた。
 ある政府高官はミサイルをゴルフボールに例えて「見えたらファーって言うのにな」と“おふざけ”。あまりに緊張感に欠ける発言であり、政府内のブレを象徴している。この政府高官は麻生太郎首相からお灸を据えられたという。
 前出の関係筋は「政府内の足並みの乱れは日本のMDシステムが不完全であることを如実に示している。仮に迎撃に失敗した場合、政府および防衛当局に非難が集中し、ひいては内閣不信任につながる」と話す。この期に及んで“予防線”を張ること自体、北朝鮮に弱腰と取られかねない。
 発射後の対応でも日本は後手に回りそうだ。麻生首相は1日、滞在先のロンドンで韓国の李明博大統領と会談。両首脳は「発射は明確に国連安全保障理事会の決議に違反する」との認識で一致した。しかし前出の関係筋は「安保理では結局、最も意味もなく拘束力もない、非公式の『報道声明』に止まるだろう」と悲観的な見方を示す。
 またもや北朝鮮の巧みな外交戦術に翻弄される公算が高まっている。

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