奇しくも、同日、南場智子オーナー(55)が記者団の取材要請に応じ、ラミレス采配を高く評価していた。しかし、「来季」に関する質問には慎重な言動だった。
「2015年のことがあるからでしょう。序盤戦は首位、オーナーは中畑(清=63)監督に対し、早々に来季の続投を要請しましたが、その後、交流戦で大失速し、Aクラス入りまで逃してしまいました。良い知らせであっても、シーズン途中であからさまに来季の話をするのは良くない、チームを動揺させてしまうと痛感したからでしょう」(ベテラン記者)
ラミレス監督(42)は2年契約である。昨季は球団初のクライマックスシリーズ進出を果たし、今季も優勝圏内で戦っている。普通に考えれば「続投」だが、こんな声も聞かれた。
「DeNAは『創設5年目で優勝』という目標を掲げていました。その5年目となった昨季にCS進出、目標達成が遅れるようなことになれば、2年連続Aクラスでも経営陣はチーム改革に乗り出すと思います」(プロ野球解説者)
今季好調の要因だが、5年目の宮崎敏郎が成長し、戸柱恭孝が正捕手の座を掴んだのが大きい。桑原将志を1番に固定できたことで、打順編成でも選択肢が持てるようになった。ラミレス監督は「8番投手、9番倉本」の変則打順を組み、これが功を奏している。こうしたチーム状況を考えると、ラミレス監督の続投はスンナリ決まりそうだが…。
「チームの中心は筒香(嘉智=25)です。あの若さで主将も兼任しており、筒香が安泰ならば、指揮官が選手よりも目立つ状況を改善してくるでしょう」(前出・同)
前任・中畑氏、そして、ラミレス監督。明るい性格のせいか、DeNAは選手ではなく、指揮官がメディアに追い掛けられる傾向にある。23日の巨人戦でサヨナラ弾を放った主将・筒香はこう語っていた。
「全員がしっかりした野球をしている。ラミレス監督を中心にそういう野球ができているので…」
前任監督が若手を育て、彼らを生かす采配に徹している。25日から始まる2位阪神との対戦次第では、DeNAが広島追撃の一番手となる。その阪神はオーナーが監督続投を示唆した。チームを混乱させないためで、シーズン中でも監督の進退を明言しなければならない場合もあるようだ。
(スポーツライター・飯山満)