春の短距離王スズカフェニックスが雪辱に燃えている。
秋初戦のスプリンターズSではGI馬らしさをまったく見せられず9着惨敗。しかし、陣営にとってこの敗北はある程度、覚悟していたものだった。
「馬インフルエンザで帰厩が遅れて、ケイコ本数を十分にやれなかった。急仕上げだったことは否めない」
地力に期待した陣営だったが、やはりGIはそう甘くない。込山助手が振り返るように、準備を整えられなかった王者は無残に馬群に沈んだ。
失地回復へ。2度続けて惨敗は許されない。しかも、今回は自慢の切れ味をフルに発揮できる舞台。言い訳のできない京都マイルだからこそ、陣営は巻き返しに燃える。
「この中間は時間が十分にあったから、余裕を持って調整できている。前走が6、7割とすれば今回は9割くらいまでの状態に戻った。それに1600m戦はこの馬の切れを最も生かせる距離だしね」
弾けたくても弾けられなかった悔しさ。それを最も感じていたのは他ならぬスズカフェニックス自身。今度は自らの能力を発揮できる体調を得た。ならば見せよう、王者の鬼脚を。