北朝鮮国内には、第二次大戦前後に死亡した日本人(=兵と民間人を含む)約2万人が眠るといわれるが、この遺骨返還が突如、加速化。外貨獲得のための戦没者事業が注目され始めているのだ。
「北朝鮮における海外戦没者の遺骨収集事業は、長らく北が協議に応じないことから、宙に浮いたままだった。ところが、今年4月に行われた金日成生誕100周年の記念行事の際に、北朝鮮が『遺骨収集に応じる』と提案。これがきっかけで、思わぬ弾みがついているのです」(別の外務省関係者)
実際、今年8月には日本人初となる遺骨収集チームが北朝鮮を訪れており、10月1日には日本人遺族16名の「墓参団」が平壌近郊の竜山墓地を訪問し、埋葬された先祖たちの墓に手を合わせている。
もっとも、北朝鮮がこうした方策に出始めた裏には、明らかな思惑があると見られている。語るのは、厚生労働省関係者だ。
「日朝協議が9月に再開されたが、遺骨収集はそれに先んじて解禁された。そのため、露骨な開放政策に舵を切った金正恩体制が、外貨獲得と外交カードに仕立てるために、これを解禁したといわれているのです」
以前本誌でもお伝えしたが、開放政策を推し進める北朝鮮は外国人の流入を緩和。これが原因で中国では、格安北朝鮮ツアーが激増しているが、日本からの墓参団が増えれば、今以上の外貨が獲得できるはず。
また、遺骨収集がさらに活性化すれば、今後の日朝協議で「日本から3兆円の戦後賠償費」を引き出させたい同国の強烈な外交カードとなることは必至。そのためか、今ではこんな話も出回っているのだ。
「当初、関係者の間では遺骨を掘り出し空輸手続きをするには、1体50万円程度ではと言われていた。ところが、過去に米国が1体5万ドル(400万円)を支払った経緯があることから、今では同額が必要と噂になっている。要は、北朝鮮は2万体で、800億円もの金をせしめようとしているようなのです」(前同)
銭ゲバぶりは凄まじい。