'09年10月、東京都八王子市の自宅で妻をオノで斬りつけて殺害。遺体の腐敗が進んで処理に困った男が、近所の団地の階段に妻を遺棄した上、コンビニの公衆電話から冒頭のような通報を自ら行うという戦慄の事件が起こった。
翌年3月に逮捕され、殺人と死体遺棄に問われたのは、柴田俊雄被告(69)。逮捕当時は「やったともやってないとも言えない」などと曖昧な供述をしていた同被告だが、1月24日に東京地裁立川支部で始まった裁判員裁判では一転。
「殺意はなかった。救急車を呼ぶために妻を運び、重たくなったので置いた」などと述べ、さらには「心神喪失状態で責任能力がなかった」と無罪まで主張。その後も「記憶がない」「妻が死体になっているとは思ってなかった」などと珍妙な主張を繰り広げたが…。
「もともとアル中で、常日頃から妻に暴力を振るっていた柴田は、数年前から妻の浮気を疑うようになり、周囲にも吹聴。警察に『妻が強姦された』と被害届も出しています。アル中の妄想から殺害に至ったと考えるのが妥当でしょう」(事件当時に取材した記者)
2月8日に行われた判決でも、裁判所は柴田被告の言い分を一蹴。「殺害当時、現場や凶器を掃除し、遺体を移動させたりしている。『死体という認識がなかった』という言い分と矛盾する。遺体は少なくとも死後4週間は経過しており、それまで部屋に保管していたが、臭いに耐えられなくなり外に出したと考えられる。場当たり的な犯行」として、懲役14年が言い渡された。
ムスッとした顔で判決に聞き入る柴田被告に、裁判所は「服役後、孫と会える事もあると思うんで…」とフォローしていたが、はたして生きて出られるのか?