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元川悦子のサッカー魔法陣(19)

 2009年J1も4分の1を終了したが、得点王争いに異変が起きている。8試合終了時点で大卒ルーキーの渡邉千真(横浜)とJ1初参戦の山形のエース・長谷川悠が5点で日本人得点王の座にいるのだ。

 ともに身体能力の高いFWだが、特にスケールの大きさを感じさせるのが渡邉。4月11日の神戸戦では、宮本恒靖を体で抑えてループ気味のシュートを決めるなど、シュート技術の高さと得点感覚は非凡。日本代表の岡田武史監督も注目する逸材だ。
 渡邉は、高校サッカーの名門・国見出身。04年正月の高校選手権では1つ上の平山相太(FC東京)らとともに全国優勝を経験している。高3だった同年秋にはU-19代表入りし、U-20W杯アジア最終予選の秘密兵器として起用された。その時の指揮官が日本代表の大熊清ヘッドコーチ。同氏の推薦もあって、岡田監督は渡邉に一目置く。

 当時の渡邉は坊主頭でシャイな高校生だった。何を聞いてもハッキリせず「自己主張のない若者」という印象。ところが4年半ぶりに話した彼は一人前の大人に豹変していた。「僕の武器はシュート。多少難しいボールでも決める自信がある」と堂々とした口ぶりで大勢の記者に話している。
 私の知らない空白の4年間、渡邉は早大で揉まれていた。「大学はプロに比べるとレベルが低かったけど、腐らず自分を磨くことに集中した。それができたのも04年のアジアユースの経験があったから。韓国の朴主栄(モナコ)のようなすごい選手と一緒にプレーして、自分には足りないところだらけだと感じた。少しでもレベルアップしたいと自分を見失わずにサッカーに集中できたのがよかった」と力強く話す。
 雑草魂を忘れていないFWは岡田監督の好み。しかも今は主力級の田中達也(浦和)と玉田圭司(名古屋)が負傷離脱中で、大久保嘉人(ヴォルフスブルク)も所属クラブで出番がない。今こそ渡邉を試してみるのも一興ではないだろうか。

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