まずファンの度肝を抜いたのは玉野GIII。選抜スタートの伊藤は金子貴志(愛知)が不発になりながら切り込んで1着。2着・赤井学(千葉)3着・中山善仁(新潟)で2車単は9140円、3連単は7万7890円の大穴を出した。
2次予選は志村太賀(山梨)石丸寛之(岡山)の主導権争いを11秒2でまくり快勝。2着も明田春喜(北海道)で2車単1万30円、3連単は13万6610円の超穴になった。
勢いは止まらない。準決では渡部哲男(愛媛)荒井崇博(佐賀)らSS級を撃破、優勝戦でも新鋭・松岡貴久(熊本)をまくって、なんと4連勝でGIIIを獲ってしまったのだ。
デビューは平成5年4月、3年後にはS級奈良で(1)(1)(8)と期待がもたれたが、伸び悩んでS級に完全復活は平成18年。静岡FIで優勝をつかんでから自信をもったか、同年の高松宮記念杯では(2)(7)(7)(1)と連対2回の成績は凄かった。永井清史(岐阜)―岩見潤(三重)の中部ラインについて3番手を回った。この初戦は抜け出したが内林久徳(滋賀)の13秒6の追い込みで2着。だが最終日は4角8番手から13秒7のまくり追い込みで頭に抜けた。
しかもギアは3・54の「4回転時代」に逆行するものだ。普通のギアで回転よくして、まくりか追い込みのレースパターンが良く決まる。ライン重視もその一つ。中部ラインなら必ず2、3番手を回り、いったん抑えてカマシかまくりを待ち不発になると、自力でまくり上げる。
ふるダビ弥彦も大健闘。初日は中割りにかかったところをふさがれてバックをふんで5着だったが、特選シードされそれに応えるレースぶり。2次予選では例によって前に行き好位をさぐったが最終バックは7番手。
ここからまくり上げて海老根恵太(千葉)の2着に届き準決へ。またまた山崎と組み合わされ、まくり勝負の山崎に追い上げるようにしていた。さすがに5着に終わったが、車の伸びは4回転の山崎にひけをとらないものがあった。
前橋FI、名古屋FI、高知FIと走って高松宮記念杯。ここが伊藤の狙い目の場所、相手が強ければ強いほど気楽に走って「あっとおどろく」高配当をファンにプレゼントしてくれるだろう。びわこ競輪のびわこ道は伊藤の得意なまくり追い込みにはぴったりのコース、F1の成績無視で狙ってみたい。