「野手の正面に飛び、救われたようなもの」
イースタンリーグに詳しい関係者はそう言って、斎藤のリリーバーとしての適性を疑っているが、もともとは制球力の高い投手である。テストする価値はあるのではないだろうか。投手出身のプロ野球解説者がこう言う。
「斎藤をリリーフに転向させる案は、14−15年オフに栗山監督が口にしていました。捕手だった近藤健介を三塁手で使ったシーズン後でもあったので、マンザラではないなと思いました。同時に、今のままでは斎藤は通用しないと心配していたんでしょう」
斎藤は今季、開幕ローテーション入りを果たしたが、連続KOを食らい、二軍落ち。二軍でも精彩を欠き、栗山英樹監督(54)の「ガムシャラになれ!」との檄で5月4日の“リリーフテスト”に至った。その二軍戦の結果を記者団に質問された際、栗山監督は嬉しそうな顔で斎藤を褒めていた。
○5月10日対DeNA、1回失点0、対戦打者数5、被安打1、与四球1、2セーブ目
○5月16日対東京ヤクルト、1回失点2、対戦打者数6、被安打3、与四球0
○5月20日対埼玉西武、1回失点2、対戦打者数5、被安打1、与四球1
初のクローザー登板を果たした5月4日の次に投げたのは、中5日を置いた同10日。その後も同16日、同20日と『登板間隔』が空いている。救援投手はある程度の連投ができなければ一軍で通用しない。一般論として、二軍戦ではその日に投げるピッチャーが決まっており、一軍戦のように勝利至上主義で調子の良い救援投手を注ぎ込んでいくことはしない。
だが、日本ハム二軍には『クローザー候補』として勉強中の投手がほかにもいる。プロ2年目の白村明弘(23)、大塚豊(27)がそうだ。白村、大塚もチャンスは限られているが、ともに防御率は2点台。それに対し、斎藤は7.16。クローザーで4試合を投げ、計4失点だから、先発で投げていたときよりも防御率は悪くなっている。
「斎藤に欠けているのは闘争心。救援転向の真意はそういう必死さを表に出すため」(前出・プロ野球解説者)
斎藤の長所は応用力ではないだろうか。先発登板し、一巡目で打たれた打者に対しては次打席目で配球を修正してくる、という…。要するに1イニングで勝負するクローザーよりも、ある程度のイニングを投げる先発か、2イニング以上を投げる中継ぎ役でなければ長所は発揮されないわけだが、一軍では先発しても試合中盤にスタミナ切れして連打される失敗を繰り返している。栗山監督はそれを「必死さがない」と怒っている。斎藤にクローザーの適性が乏しいことは初セーブ後の3試合を見て分かった。“長所”を発揮できる先発への復帰、あるいは、ミドルリリーバーのポジションを得るには『クールガイ』を返上すべきだろう。