この、一般企業だけのものかと思っていた「試用期間」、実はキャバクラ界にも存在します。といっても、お店側がキャバ嬢さんを「試用」するのではなく、キャバ嬢さん側がそのお店を「試用」します。「体験入店」と呼ばれるシステムです。正式には、お店の雰囲気や客層などが自分に合うかチェックするために設けられているシステムなのですが、これを別の目的で利用する女性も少なくありません。
「体験入店」をすると、そのぶんの給料は日払いで受け取ることが出来ます。この、日払い目当てで、いくつものキャバクラを体験入店行脚している女性も存在するのです。「ひとつの店に腰を据えて働いたほうが、長い目で見ると安定するのでは?」と思う人もいるでしょう。はい、全くその通りです。しかし、定期的にシフトを出して、その通りに出勤するのが億劫だったり、手持ちのお金が底をつくまでは働きたくない、という女性は、ひたすら体験入店をハシゴします。
体験入店ハシゴ嬢に対して、酷くだらしない印象を受けるかもしれませんね。実際のところはどうなのかといいますと、私生活はさておき、接客が悪いということは決してありません。ひとつの店に属していないだけで、それなりに経験は積んできていますから、普通に水割りを作ることも出来ますし、煙草に火をつけることも出来ます。そもそも、店側とて、誰にでも体験入店させているわけではありません。まず、パッと見の容姿がそれなりの基準を満たしていない女性には体験入店させないことがほとんどですので、それなりに可愛い嬢が多いというのが特徴でもあります。
ですので、フリーでキャバクラへ行った際、「今日は体験入店なの」というキャバ嬢さんにあたっても、ハズレを引いたとは思わないでくださいね。また、体験入店=渡り鳥とも限りません。正規の目的、つまり腰を据えて働くために、店の雰囲気や客層が自分に合うかを確かめるべく体験入店に来ている嬢もたくさんいます。見分けるコツは、「働くのは、この店で何軒目?」という質問が有効でしょう。但し、嘘をつかれる場合もあります。よって、あまり躍起になって見分けようとせず、事情はどうであれ、その時の会話を楽しむことに重点を置いたほうが無難といえます。(キャバクラ研究家:菊池美佳子)