例年のグランプリなら古馬VS3歳馬のがっぷり四つがメーンテーマになるが、今年は3歳牝馬ウオッカが1位、ダイワスカーレットが4位とファンの支持を受けたように、古馬VS3歳牝馬という珍しい構図ができあがった。 しかし、その流れに組み込まれない馬が1頭…それが、実際は2歳半のロックドゥカンブだ。
最大の魅力が菊花賞→有馬記念の黄金ローテ。同ローテ組は最近でもマンハッタンカフェ(2001年1着)、リンカーン(03年2着)、ディープインパクト(05年2着)と結果を残している。まして、今年は馬インフルエンザ騒動で、スターホースは軒並みローテーションに微妙なズレが生じた。繊細な牝馬ならなおさらで、ライバル陣に余力が残っているとは到底思えない。
一方、ロックは菊花賞後、すぐさま山元トレセンへ放牧に出された。菊花賞1着アサクサキングス、2着アルナスラインがともに体調不良で、グランプリに駒さえ進められなかったことからも、秋3戦目にグランプリという無理のないローテーションを組んだ陣営のジャッジは英断といっていいだろう。
当の堀師も「いいリフレッシュになった。菊花賞時よりケイコでの行きっぷりが良くなっている。大型馬なので、暑い時季より寒い時季の方が調整しやすいしね。中身と息はもうできている」と使い詰めの他陣営をあざ笑うかのような口ぶりだ。
もちろん、鞍上に世界有数のジョッキーであるマイケル・キネーンを配してきたことにも触れなければなるまい。堀師の評価はこうだ。
「ジョッキーの方からコース、馬のことを聞いてくる熱心さ。『ビッグレースキング』と呼ばれているプロ中のプロ。ロックの父と母の現役時代を見ているし、もう、任せるだけ」
デビューから4連勝した実力に疑いの余地はなく、前走・菊花賞でも最後は脚を余した形。古馬VS3歳牝馬の構図を崩すのは、異彩を放つこの南半球産馬かもしれない。
【最終追いVTR】ジャガーメイル(古馬1000万)と併せ馬。5F標から相手を3馬身先行させてスタート。直線で内に入ると、軽快な脚さばきで半馬身抜け出たところがゴール板だった。ひと息入ったが、気配は申し分ない。