桑原は福知山成美高校から、2011年ドラフト4位でベイスターズ入りした生え抜き選手。2016年途中から、同級生の乙坂智、2才下の関根大気らとの熾烈な「若手センター」争いに勝ち抜き、堂々レギュラーの座を獲得。昨年も不動の1番センターを確立した。それにはラミレス監督の「レギュラー選手は我慢して使い続ける」との一貫した姿勢によるところも多かった。
特に昨年の3・4月は打率.219と苦しみ、続く5月も.250となかなか調子が上がらず、物足りない数字だったにも関わらず、信じて使い続けた結果、7月には打率.389の好成績で、月間MVPを受賞。チームには欠かせないリードオフマンになり、CS、日本シリーズと駒を進める原動力になった。結局的にラミレス監督の「動かず信じる」スタンスは正しかった。
日本シリーズでも1〜3戦で無安打。いわゆる「逆シリーズ男」と呼ばれることになっている局面でも、「1番桑原」を変えることはなかった。
今年のオープン戦でも.167と苦しみ、シーズンインしても1割台前半ではあったが、昨年のことがあるだけに、ファンは桑原が代えられるとは思っていなかったはず。そんな指揮官が「お気に入り」の桑原に代打を出すことに、多くのファンは驚いた。しかもわずか2戦目の出来事だった。監督は「去年は代わりになるプレーヤーがいなかった。今年は違う」の発言と共に「あすの1番は神里」と言い切った。
神里和毅はドラフト2位で日本生命から入団したルーキー。俊足が武器でリードオフマンにはうってつけのタイプ。いきなりプロに対応し、しっかり結果も出している。しばらくはこのまま行きそうだ。
今年のベイスターズは、外野は層が厚い。一軍には乙坂智、ルーキーの楠本泰史が控え、二軍にも関根大気、細川成也、荒波翔らが昇格を狙っている。あとはなんと言っても梶谷隆幸。肩、背中の怪我が完治すれば、もちろんレギュラー争いに入ってくる。
桑原の明るく泥臭いキャラクターは稀有な存在。チームには欠かせない。この厳しいチーム内の戦い、ガッツマンは喰らい付いて行けるのか。リードオフマン争いも俄然注目だ。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘