だが、08年優勝のノンスタイルあたりから、「M-1」効果にかげりが出てくる。漫才で笑いが取れても、フリートークが苦手なノンスタイルが、各局のバラエティ番組でブレイクを果たすことができず、「M-1」神話に大きなつまずきを生んでしまったのだ。この不幸な傾向は、昨年末のパンクブーブーの動向にも見ることができる。確かに、玄人受けのよいパンクブーブーの漫才は、見事な職人技で手堅いのだが、ルックスやギャグにテレビ向きの華がなく、東京の洗練された番組にはそぐわないため、思ったようなブレイクにつながっていないのだ。
その一方で「M-1」では、優勝していないコンビに注目がいくという皮肉な結果も生まれている。08年にノンスタイルの漫才の前に遅れをとったオードリーやナイツが、バラエティ番組でブレイクを果たし、昨年末惜しくも優勝を逃した笑い飯が「鳥人(とりじん)」という鳥の頭部を持った怪人ネタで人気を博すなど、「M-1」で二番手、三番手に甘んじたコンビがブレイクするという奇妙なねじれ現象が生まれているのだ。
はたしてパンクブーブーは、パンクせずこの芸能界を渡っていけるのだろうか。