痴漢をしたとして有罪が確定後、懲戒免職処分となった神奈川県の元横浜市立高校教諭の男性(60)が市側に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(市村陽典裁判長)は4月11日、「処分は重すぎ、著しく妥当性を欠く」として、男性側の請求を退けた1審判決を取り消し、男性側逆転勝訴を言い渡した。
高裁判決によると、男性は06年1月、横浜市内のデパートで女性2人の下半身を服の上から、すれ違いざまで触ったなどとして、神奈川県迷惑防止条例違反容疑で逮捕された。男性は無罪を主張したが起訴され、07年に最高裁で罰金40万円の有罪が確定。これにより、同年に同市教育委員会から懲戒免職処分を受けた。
男性は「処分は市教委の裁量権を逸脱し違法」として提訴し、昨年8月に横浜地裁で「社会への影響を考えれば、免職は不合理ではない」として、請求を棄却されたため控訴。粘り強く闘った末に、逆転勝訴を勝ち取った。
高裁判決は男性の行為について、「計画性がなく、着衣の上から一瞬触る程度であって執ようではない」と認定。男性に前科がなく、勤務態度が良好だったことを踏まえ「処分は社会通念上著しく妥当性を欠くと認められる」と判断した。
市教委は内規で、痴漢行為に伴う職員の処分について免職か停職と定める一方、具体的な状況などを踏まえて軽減するとしている。
同市の岡田優子教育長は「判決を精査した上で、今後の対応を検討する」とコメントしている。
(蔵元英二)