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加藤コミッショナー、セリグコミッショナーと会談の思惑

 日本プロ野球組織(NPB)・加藤良三コミッショナーが、7月13日にアナハイムで行われる大リーグ(MLB)のオールスターを視察。セリグコミッショナーと会談する予定だ。今年1月に米国で行われた初の日米球界トップ会談以来の顔合わせになる。

 この時にセリグコミッショナーから提案された「日米のクラブチャンピオンチーム同士による日米決戦」をはじめ、日米間の国際試合の実現へ向けて具体的な段取りを付けたいと、加藤コミッショナーは明かす。
 「日米のクラブチャンピオン同士の決戦だけでなく、セリグコミッショナーは米メディアに『日米のオールスター戦』という話もしている。そういう方法もあると思う。ナショナルチーム同士の戦いは、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がある。1年に1度くらい日米の間で国際試合があれば、選手の励みになる。実現するために、事務レベルで継続的に話し合えるようにしていきたい」。こう語る加藤コミッショナーの頭の中には、現在行われているサッカーのワールドカップの異常人気があるのは間違いないだろう。
 「サッカーと野球は敵対するものではありません。スポーツで日本を元気にする。そのためには、今はサッカーのワールドカップ、それが終わればプロ野球の出番です。オールスターもあるわけですし。2月のバンクーバー五輪の時も言ったように、スポーツ界が一体になって日本を元気にできればいい」。
 サッカーW杯とプロ野球は敵対関係にないと強調するが、日の丸を背負った日本代表効果の大きさを改めて痛感させられているのは事実だろう。サッカー界には日本代表チームが常設されているが、プロ野球界ではそれができない。12球団オーナー会議で「日本代表チームの常設」という案が検討されたことがあるが、「誰を日本代表監督にするのか。選手はどういうメンバーにするのか、難題が山ほどある」(あるオーナー)のが現実で、簡単にはいかない。

 北京大会を最後に五輪の正式種目から野球が消えたのも痛い。WBCの第3回大会は3年後の2013年の予定だ。「1年に1度くらい国際大会を開催して、日本を元気に、選手の励みにもしたい」という加藤コミッショナーの発言は、少しでも多くの国際大会実現を熱望する、切迫した本音が込められている。
 年間3億円程度の赤字が見込まれているNPBの厳しい財政状態。そのために、1球団7100万円の拠出金を4000万円値上げして1億1000万円にする案が出されているが、経営の苦しい球団の反対があり、まだ正式決定していない。
 それなのに、今年のオールスターの1試合の放映権料はなんと昨年の半額近い4000万円程度まで暴落している。一昨年までは1試合1億円を超えていた放映権料が昨年8000万円まで値下がり。「一度下がり出すと止まらない恐れがある」と戦々恐々としていたNPB関係者にとって、最悪の結果になっているのだ。
 八方ふさがりのNPBにとって、頼みの綱は国際大会しかない。だからこそ、加藤コミッショナーは大リーグのオールスターにまで足を運び、セリグコミッショナーと直談判する。が、相手はMLBの利益しか頭にない、したたかなセリグコミッショナーだ。「総論賛成、各論反対」で悪戦苦闘するのは目に見ている。

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